お誘い
僕が投げられた場所がいい感じに土が混ざったので、そのまま手を加えて…種が芽吹いてある程度育ったらそこに植える事になった。
「畝はこのくらいでいいかな…芽が出たら図鑑と見比べつつどうすればいいか調べよう」
「…うん」
紫様は僕を投げ飛ばしたあと、目を合わせてくれない。
そっぽを向いたまま、赤面している。
「…紫様、照れ屋さん」
「聞こえてるわよ、クー」
「紫様、ごめんなさい…」
「あ、あんな事言うなんて…もう…」
…なんか煙が出てきそうなくらい赤面している。
「…紫様」
「何よ…って、顔が近いわよ!」
「…やっぱり、紫様はとても綺麗です」
「…っ!?」
「それに、そうやって赤面している姿も…とても可愛いし…僕の自慢の主ですよ」
「…う、うぅ…なんでそんな恥ずかしい事が言えるのよ馬鹿…」
…うーん、本当の事を言っているだけなんだけど。
普段とは違う一面は可愛く見えるものだ。
「…まぁ、それはそれとして…」
「…切り替えたね」
「うっさいわよ、スキマで尻尾をこっちにやってもふるわよ」
「…乱暴、やだ」
「なら静かにしてなさい。…黄、貴方…この幻想郷の外の世界、興味はあるかしら」
「外…ですか。うーん…」
「ちょっと私が外の妖怪達に用があるのよ。いつも藍には結界を見ててもらうのを頼んで私一人で行くんだけど…久々に誰かを連れて行くのもいいかと思ってね」
「なるほど。…行きます」
貸本屋で借りた本だったり、紅魔館の図書館で読んだ本は半数以上が外の世界から入ったものだ。
…興味が湧かないはずがないじゃないか。
「即答ね…ま、いいわ。明日から行くから。服はこっちで用意しておくわね」
「ありがとうございます、紫様」
…外界、か。楽しみだ。




