機会が舞い込む
「…うーん、後は行って無いのは太陽の畑と天界くらいかなぁ」
「そうねぇ。でもどっちもなかなか行きづらいわよ?それに…残りの属性は何だったかしら」
「氷と雷なんですよね。雷は何と無く天界っぽいんですけど、太陽の畑はどっちもイメージが湧かないというか」
どちらに行くにしても…少し難しいか?
「…主様、ただいま帰りました」
「いやぁ、いい所じゃったの…」
「おかえり、クー、翡翠。今日はどこに行ってきたの?」
「…ん、猫と遊んでたら…」
「いつの間にかヒマワリという花が沢山咲いておる場所に迷い込んでしまってのう」
「えっ」
「そこで花を世話しておる者に怒られたのじゃが…ちゃんと謝ったら許してくれたぞ」
「…えーと、紫様…」
「私は知らないわよー。黄が自分でなんとかしなさいな」
「…大丈夫、幽香さん…優しかったから」
…思いがけない形で行かなきゃいけなくなったよ、なんてこった。
という訳で、太陽の畑である。一面の向日葵畑に一本の道が走り、丘の上の家まで続いている。
面識があるクーも一緒の方が話を聴きやすいかと思ったので連れてきた。…別に一人が怖かったわけでは無い。
「行こうかねぇ…」
「…優しいから大丈夫、だよ」
うーむ、確かに怪我とかはしていなかった。…大丈夫、だと思いたい。
「あら、こんな所で何をしているのかしら?」
「うわっ!?」
「…あ、幽香さん」
「あら、昨日の…クー、だったわね。またこんな所に…」
「…だって、綺麗な場所だから」
「あら、嬉しいわね。…で、そっちのは何?」
「あ、あぁ…どうも…」
「…私の主様」
「ああ、そうだったの。ってその服…アイツの関係者だったのね」
…そうか、クーは遊びに行く時は別の服を…人里の子供とあまり変わらない格好をさせているからな。…帽子が特徴的なくらいか。
「あ、えーと…昨日、クーが入り込んじゃったみたいだったので…」
「ああ、別にいいのよ。…ふふ」
幽香さんはクーを撫でながら微笑んでいた。…幻想郷縁起や紫様の印象が全て正しいという訳では、やっぱり無いようだった。




