深蒼
「…っ、と。本体は貫いたはずだ。…後は…」
今まで、瘴気の獣の内側には…精霊玉があった。ならば、今回もあるはず…
目的の物は、結界の上に乗っかっていた。
「…おそらく、というか確実に水の精霊玉かな。…先に結界の内側に戻るか」
「…あれが、君の力か。正直、驚いたよ…あれほどの威力とは」
「あの化け物を一瞬で倒すとは…なかなかやるのう」
「そりゃどうも…っとと、やっぱしきついな」
力を一点に集中させ、一気に加速するあの技は、反動がそれなりに大きい。…節々が痛む。
「…あったあった。…うえぇ、苦い…」
「な、何を飲んでおるのだ?」
「反動を軽減させる魔法薬…何故かにっがいやつじゃないと効果がなくて…」
「た、大変なんじゃな…」
むせていたら背中をさすってくれた。…結構優しいのか、翡翠。
「…あのままでは、結界ごとこの場所が潰されておったかもしれんからな…ありがとう」
「ん、どういたしまして。…あれは、僕がある意味探している相手でもあったから」
「…そうじゃったか。で、この宝石…とんでもない魔力じゃが、これはなんじゃ?」
「…黄が内包する精霊、そのうちの一つ、ということか」
「そうです…まずは、出してあげましょうか」
やっと口の中の苦さも取れて、体もしっかり動くようになった。
精霊玉を手にとり、優しく握る。パキン、と音がして…中から粒子が舞う。
粒子は少しずつ形を成し、深い青の髪と、似た色をした着物を着た大人びた女性の姿をとった。
「…ありがとうございます、私の主。…私の名前はミソウ、これからよろしくお願いしますね」




