物理無効
「…あら、もう出来たの?早かったわね」
「検査もすぐ終わりましたからね」
「そう。…ねえ、武器を属性ごとに変化させることができたじゃない?」
紅魔館、図書館に戻るなりパチュリーさんは僕に何かを提案しようとしている。
「ええ、確かに出来ましたね…それがどうかしましたか?」
「黄なら体内に精霊を宿しているから…貴方自身が武器と同じように属性を纏うことができるんじゃないかと思ってね」
「…メリットとかあるのかな…」
「大アリよ。相手が使った属性と同じ属性になればダメージは殆どなくなるわ。例えば…氷精が黄に向けて氷柱の弾幕を売ってきたとするでしょ?それが当たりそうになったら、自分の属性を変化させてダメージを最小限に抑えて…戦闘を続けられる。一撃でやられることが殆どなくなるのよ」
「なるほど…確かに使えそうだけど…」
「ほほほ、我々が実体から精霊体へと変わる原理と同じですな」
声の方を向くと、メランが妖精メイドと一緒に紅茶を持ってきていた。…ん、この妖精メイド…少し強い?
「メラン、何してるの?普段妖精メイドなんてつけないのに」
「ほほほ、紅魔館は広いですからな…自立心の強い妖精メイドにフロア長を任せることになりまして、教育中なのです」
紫髪の妖精メイドは、おどおどしながらお辞儀をする。
「…メラン、本当に大丈夫なのこの子」
「ほほほ…潜在能力は高いのです。しかし…少し性格が大人しくてですね。その辺りの改善も含めて任命したのです。ちなみに、フロア長には三体を任命していて、他の二体は咲夜殿が教育中ですな」
「ああ、そうなの…で、精霊体って?」
「実際に主様は見ているはずです。我々が主様の中に招かれた時に…」
「…あの粒子状になるやつか!」
「その通りでございます…実際に見せましょう」
そう言った途端、メランは何かを発動し…
「…?なんか…ばらけたような…」
「…体の構成が魔力そのものになって散らばった状態ね。こんな感じで」
パチュリーさんの腕がメランに伸び…メランの腹を貫通した。
「魔力そのものになって物理攻撃を無効化…なるほどね」
「ほほほ、しかしこの状態であれば魔法攻撃の威力がそのまま伝わってしまうので複合攻撃をされると厳しいですな」
「…確かに使えそうかな。練習してみようか…」




