装着完了
「なるほどね…僕と同じような原因だな」
「霖之助さんも本を読んでて目を?」
「ああ。店を構えている場所が場所だから薄暗くてね…ほぼ一日中本を読んでいるうちに視力が落ちたんだ」
「…主様も、霖之助さんも…ダメだよ…?」
「うん、気をつけるよ」
「はは、君の式は手厳しいな」
眼鏡の完成を待つ間、霖之助さんと他愛もない話をして過ごしていた。
「…しかし、こんな所で噂の人と会えるとはね。眼鏡が壊れたのも良かったのかもしれないな」
「お待たせ、黄さん…っと、霖之助さん来てたのかい」
「ええ。眼鏡のネジが取れて壊れてしまって」
「あー…わかりました。少し待っててくださいね。…では、これを」
レンズが嵌められ、完成した眼鏡をかけてみる。…おお!
「こうやってかけてみると、全然景色が違いますね…」
「横が締め付けられたりとかはないですか?」
「大丈夫です。…うん、いいですね…」
「気に入ってもらえたようで何よりだよ」
「ええと、代金は…」
「レンズとフレーム込みで…これくらいだね」
「分かりました」
代金を支払うと、紙袋を渡された。
「眼鏡を入れるケースと、拭き掃除の布が入っているものだよ」
「ありがとうございます」
「黄君、もし暇な時間が出来たら僕の店に来てくれないか?…君の記憶を取り戻す何かがもしかしたらあるかもしれないから」
「…わかりました、では」
眼鏡屋を後にして、紙袋は空間魔法で先に僕の部屋へ送った。
…さて、もう一度紅魔館に行こうかな。




