精霊探し
地霊殿での騒動から数週間が経ったが、残りの精霊の手がかりは掴めずにいた。
残す精霊の属性は水・氷・雷。
関連があるとすれば、水であれば妖怪の山の滝か、霧の湖。雷なら、恐らく天界だろう。しかし、氷に関しては該当しそうな場所が思いつかない。
「うーん…瘴気の獣の報告も無いしな。思えば完全にセットで出てきているんだよな…」
今までに倒した瘴気の獣は、すべて精霊玉をその身に取り込んでいた。
「…結界を越えるために、精霊玉の力を取り込む必要があるってことなのかね…だとすれば、残りは三体以内か…」
…考えていても埒が明かないか。少し出かけるとしよう。紅魔館がいいかな。
「紫様、少し出かけてきます」
「ん、いってらっしゃい。…気をつけるのよ」
「分かっていますよ」
空間魔法で人里に出て、そのまま紅魔館へと飛んでいく。
「…くー…」
「…ぐっすり寝てるなぁ。…ヴェル」
「おう、規模は?」
「耳元で三十発」
「了解っと」
美鈴さんの耳元に、魔力の玉が浮かび…次々と破裂して爆竹のような音を鳴らす。
「うわぁぁっ!?」
「…どうも、美鈴さーん」
「黄さん!?…酷いですよー」
「門番なのに眠ってる美鈴さんが悪いんですよ」
「そうよ、またご飯抜きにされたいの?」
「さ、咲夜さん!ごめんなさい!」
「…まったく。…黄も、あそこまで大きな音を出したらお嬢様達が起きてしまうわ」
「あ、それは大丈夫です。風の魔力で壁を作ってありますから」
音というものは空気の振動だ。そこで、風の障壁でその振動を抑えてしまえば音は小さくなる。
「…あれ、じゃあなんで咲夜さんには聞こえてたんですか?」
「微かに聞こえてきたのよ、爆発音が。確かにあのくらいなら寝ていれば気にはならないでしょうけど…」
「…ま、次は…別の方法で起こしますよ。というか寝ないでくださいね美鈴さん」
「はーい…」
「…で、この時間に来たってことは…調べ物ね」
「はい…図書館に入りますね」
「ええ、どうぞ」




