ある一つの結末
「…では、やってみますね」
「お願いします」
さとりさんの能力が、僕に通るようなイメージをする。
「…!見えました…これは…」
「どうかしら、何が見える…?」
どうやらうまくいったようだ。
さとりさんはゆっくりと語り始める。
内容は、僕が見たものと一緒だった。僕がさっきまで見ていた内容を過ぎたところで、異変が起こる。
「…!?これは…っ、う、ううっ…」
「さとりさん!?」
さとりさんが突然口元を押さえながらうずくまってしまった。
「どうしたんですか!?」
「…な、なんですか、あれは…とても、言葉では言い表せないような…う、うぇっ…」
「何が、起きていたんですか…」
「…ひ、人が、生き物が…全て、壊れていく光景です…あなたが、何かをつかもうとしたその時に、壁が壊れて…」
…恐らく、つかもうとしたのは鍵…精霊玉だろう。だが…何故壁が?
「壁の向こうには、何かが…?」
「…形容しがたい生物のようなものが、次々と…」
…瘴気の獣か!
壁の向こう側、建物の外は瘴気の獣が跋扈していたのか…
「その後、あなたはその獣が作り出した裂け目に落ちて…」
「もう十分です、ありがとうございます、さとりさん…ゆっくり休んでください…」
体調が少しでも良くなるように、風魔法の魔力で包んであげた。
「…紫様、これは僕の憶測でしかありませんが…恐らく、僕が居た世界は…もう…」
「……」
沈黙の中、さとりさんが咳き込む音だけが響いていた。




