もっと熱く
「暴走、ですか。どんな風に…」
「その場所だけ、温度が急上昇しているんです。マグマが急に湧き出しているようで…今のところ別の場所まで影響の出るような状態では内容ですが…」
「マグマ、ですか…ふむ…」
…ほぼ間違いなく精霊玉が何か影響を及ぼしているな。
「その場所まで案内してもらえますか?」
「…心当たりがある、ということですか」
「探している精霊の影響が一番に考えられます。…それと、瘴気の獣がそこに出現した可能性も考えられますから」
「分かりました…行きましょう」
「案内するのはいいんですけど…近づけるんですか?何の対策も無しで…」
「…気温が上がるってことは、その場の空気が温められているってことです。それなら…空気を入れ替え続けてしまえばいいんです。ジリョーヌイ、手伝い頼むよ」
「…はい、マスター」
さとりさんが驚いた顔をしている。…あ、いきなり目の前に出てきたからか。
「さっき話に出た精霊のうちの一人、ジリョーヌイです」
「…よろしく」
「は、はい…」
「ジリョーヌイ、できるか?」
「…一応できるけど、そこまで多くの空気は入れ替えできない。外と繋がってる場所がもっと近かったら…」
「ん、なら…僕が空間魔法で地上の、かなり高い場所に繋げればいいか。上空の温度は低いだろうし」
「…それなら、大丈夫」
「よし、じゃあ行きましょうか」
「え、ええ…」
ジリョーヌイが作った風のベールがあっても、その外側の熱気が伝わってくる。それほどまでにここは気温が高いようだ。
「確かに異常だな…そのまま行ったら火傷で済まなさそうだ。…そういえば、その…お空ちゃん、でしたか。まだその場に居るんですか?」
「はい。…あの子は火を扱えるので、このくらいなら大丈夫だと思うのですが…黄、貴方の言った瘴気の獣が居たらと思うと…」
さとりさんは心配そうな表情を浮かべている。
「大丈夫です、僕がすぐに治療と浄化をしますし…僕が倒してしまいますから」
「…お願いします。もうすぐ着きますけど…」
「…主様、あそこ…誰かいる」
クーが指差したその先、人影は二つ。…片方はさとりさんのペットだろうけど、もう片方は…?瘴気は感じられない。
「…魔力の塊?まさか…」
「がははは、小娘なかなかやりおるのう!この熱さの中でも普通にしていられるとは!」
「おじさんもすごいよー!なんでこんな事できるのー!?」




