155/319
人と狼と猫
「ああ、どうも。ここが地霊殿で間違いないよね?」
「うん、そうだよ。…あれ、お兄さん…地上の人間?」
「ん、僕の事を見たことが?」
「うんうん。私、たまに地上に上がってお散歩してるからね」
「ん、そうだったの?…でも、僕は君を見かけたことは…」
「あー…地上ではこの姿じゃないからね。えいっ」
ぽんっ、と音がしたと思ったら…
「にゃーん」
「ああ、普通の猫の姿にもなれるのか」
リボンをつけた黒猫がそこに居た。
「…ほれほれ」
喉のあたりを撫でてやると、ゴロゴロと喉を鳴らしながらうっとりしている。
「…ふー、お兄さん猫の撫で方慣れてるね」
「たまに起きたら猫まみれになってる時があるからね…」
橙が潜り込んで来た時、たまに他の猫達も来て大変だった。
「猫に好かれるんだねぇ、ふふ。…で、隣の君は…」
「…クーです」
「うんうん、知ってるよ。…近くで見ると可愛いねぇ」
「…えへへ」
撫でられて嬉しそうだった。
「えーと…名前は…」
「火焔猫 燐だよ。さとり様からはお燐って呼ばれてる」
「…その方が呼びやすそうだな。…僕たちもそう呼んでいいかな」
「うん、いいよー」




