能力検証その2
十分後、僕は頭にたんこぶを作って床に正座させられていた。
紫様はまだ怒った様子でソファに深く腰掛けている。
「…まぁ、うん。自業自得よね」
「流石にもうちょっと違う方法もあったでしょうからね。…フランも、すぐ請け負っちゃダメでしょ?」
「ごめんなさい…」
「いいえ、悪いのは黄だから。…説教は帰ってからにするわよ。…それにしても、これでも能力の片鱗でしかないなんて…」
…そう、判明している一部でしかない。能力のおかげと思われる強化が他にもある。
「そうですね…他には…魔法の使える幅が今までより格段に増えた気がします」
「使える幅?」
「…属性の解釈が深まった、といったところかしらね」
「おそらくそうですね…一つの属性における使い方が増えたのはもちろんですけど、複合魔法の幅が格段に広がったような…」
「例えば?」
「土・闇の重量魔法ですけど…以前は無重力か、重力を増加させる事を、一定の範囲のみでしか行えませんでした。けど…」
空間魔法で適当な場所から土を持ってきて、重力魔法で浮かせる。完全な球の状態で。
「これは…!?」
「球状の惑星における、重力のかかり方を小さく再現したものです。…こんな風に」
インク瓶を、球の下の部分に置く。見た目は逆さまになっているが、瓶からインクはこぼれない。
「ここまで細かい制御を…」
「他の魔法でも、細部までの制御ができますよ。…スペルカードも精巧な物が作れるはず…」
「…ずるい!」
「うわっ、パチュリーさん近い!?」
あー…魔法使いは長い歳月をかけて魔法を究めていくものだったっけ。…それが能力が開花しただけでこれだもんな。
「ずるいわよそんなげほっ、げほっ」
「うわっ、発作出てますって…」
小悪魔さんが慌てて喘息の薬を渡す。…風魔法の癒し効果を当てつつ背中をさすってあげた。
「はー、はー…普段より楽ね…風魔法、かしら…」
「はい…」
「…少し落ち着かせて。落ち着いたら…能力は一旦置いておくとして、必要ないかもしれないけど、属性ごとの特性をちゃんと教えておくわ…」




