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東方黄明譚  作者: k.Yakumo
14章 神々が住まう妖怪の山
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恋しき我が家

「黄、お待たせ。そろそろ戻りましょう」

「あ、紫様。もう大丈夫なんですか?」

「ええ、とりあえずはね。混乱も収まったから…」

「えー、もう帰ってしまうのか…」

「…何故不満そうなのよ、大天狗」

「だって、黄が居ればこの可愛い生き物をずっと観察できるんじゃぞ…?」


大天狗さんに隠れるようにして、クーがしがみついていた。


「…あややや、嫌われちゃってますねー」

「な、なんじゃと!?何故じゃ!?」

「…自分の行動を振り返ってみれば分かるかと…」


文さんも椛もフォローは既に諦めていた。


「うぅ、遠くから眺めるだけでもだめなのか…」

「…椛、大天狗さんのフォローよろしく。僕じゃ無理だ」

「えっ!?」

「椛もみもみですね今日は」

「ひいっ!?それだけは嫌ですー!」

「あっ、待ちなさい!大天狗様あのままだと明日以降も引きずっちゃうから!」

「…なんかこの様子を見てたら厳しい縦社会のイメージはどっかに飛んでっちゃいましたよ」

「私たちは付き合いが長いけど…ここまで壊れてる状態は初めて見るわよ?」

「えっ」

「…早く、帰ろ」

「あー…そうだな。妙に休まらなかったし」

「…へぇ、休ませろって言ったのにねぇ…えいっ」

「ひっ、ひゃぁぁぁぁ!?」

「あ、スキマに落ちた」

「…あ、あのスキマもしかして…」

「うん、藍のお仕置き用よ」


あぁ、三十分後にこの部屋にぐったりなった大天狗さんが吐き出されるのか…


「…では、お世話になりました」

「いえ、こちらこそ…」

「早苗さんたちの所にはまた後日僕が行きますから」

「わかりました、伝えておきます。…っと、忘れる所でした。大天狗様がこれを」


渡されたのは赤い石のついたブレスレットだ。


「それをつけておけば、妖怪の山上空を飛んだり、参道以外を通っても哨戒天狗達に何か言われる事はなくなります。いわゆる通行証のようなものですよ」

「…大天狗さんが戻ってきて、正気に戻ったら感謝を伝えてください」

「…わ、わかりました」




「…あぁ、今回ほど自分の部屋が恋しいと思った事はない…」


布団に沈み、動きづらい身体をゴロゴロと転がす。


「…今回はまた大変だったわね。…それ以上に収穫があったようだけど」

「まぁ…そうですね。…紫様、体の調子が戻ったら一緒に博麗神社に行きましょう。おそらく…」

「…そうね、今なら分かるかもしれないわね。ま、それまではゆっくりしてなさいな」

「…で、なんで僕の布団に紫様が一緒に寝転がってるんですかね」

「…私だって、心配はしてたんだからね」

「ありがとうございます…」

「さ、こっちに来なさいな。…ゆっくり、おやすみ…」


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