滅光、山の災禍を祓う
「くっ…数が多い!」
散開してすぐに、黒く小さな鳥の群れが木々の隙間を縫うように飛んでいるのを発見し、浄化していったのはいいのだが…その群れの数が相当多い。15分ほどでかなり消耗してしまった…このままでは皆倒れてしまう。
「まさか、これが狙いか…?」
「…マスター、私に任せてくれませんか?」
「…やれるのか?」
「はい、この程度であれば…範囲浄化でなんとかなります。親玉も炙り出せるはずです」
「わかった、行こう。メラン、全員神社にもう一度集まるように伝えて!」
『ほほほ、かしこまりましたぞ』
「……」
「なかなか、きついな…」
「あはは…きりがないんだけど、どうするの?」
「ビヤンコと僕の浄化を山全体にかけて、雑魚を消して親玉を見つけます」
「山全体に!?そんなことが可能なんですか?」
「僕はともかく、ビヤンコの魔力量ならやれるはずです。…いくよ」
「はい、マスター」
ふわりと浮いて、広がる阿鼻叫喚の景色をしっかりと捉える。
「マスターは範囲の固定に集中してください。浄化のための魔力は私が供給します」
「分かった、任せる…!」
山全てに僕の力で線を引く。しっかりと、浄化を行うためにはこの線引きが重要だ。
「…今だ!」
「はい!」
山の全てを、光の柱が包み込む。奇怪な断末魔が響き、小さな黒い鳥達が山の中から消えた。
「す、すごい…」
「…!居ました…!」
「よし、行くよ。皆は天狗達を救助してください」
「わかりました、気をつけて!」




