黒風、山を呑み込むモノ
「精霊、ねぇ…」
「魔力の塊だよねー…うわっ!?」
「ふふ、可愛いです…」
「ビヤンコ、小さくても神様だよ諏訪子さんは…」
「こらー、小さい言うなー!」
「まったく、はしゃぐなよ…」
なだめる神奈子さんだったけど、腕の中にフラーウムが居て撫でてるからあんまり説得力がないんだよなぁ。
「なんだか、漫画の主人公みたいですよね…全ての精霊が集まった時に何が起こるんでしょうか」
「さぁ、分かんないよ。さてと、精霊も見せたし…少しお願いを聞いて欲しいんだけど…」
「はい、なんでしょうか?」
「…僕が幻想入りした時、した瞬間に居たと思われる場所へ行きたいんです」
「…やっぱり、それが目的でしたか」
…文さんの雰囲気が変わった。まずいかな…
「だとすれば、通す訳にはいきませんね。私だって天狗社会の、」
「きゃあぁぁぁぁっ!!?」
「っ、外から悲鳴!?」
「この声、椛!?黄、何をしたっ!!」
「何もしてない!とりあえず外に出よう!」
黒い風の渦、椛がその中でもがいていた。
「なんて禍々しい…!」
「近づいてはダメです…瘴気が…!」
まずい…なんとかして助け出さないと…!けど、風には実体が無い!
「操る何かが何処かに居るのか…?」
「っ、なんてこと…他の天狗まで…!」
椛と同じ服を着た哨戒天狗達や、青い服を着て水辺を逃げている河童達も黒い風から逃げ惑っていた。
「妖怪の山が、黒い風に侵されている…!」
「早苗、親玉を探すよ!諏訪子も手伝いな!」
「分かってるよ!」
「…待ってください。…ビヤンコ、お願い」
「はい…私の魔力よ、彼女らを護って!」
光の魔力を早苗さん、神奈子さん、諏訪子さん、文さんに纏わせる。
「一時的に瘴気の影響を和らげるベールです。持続時間は一時間程…その間に決着を!」
「見つけたら、すぐに僕に知らせてください。…僕じゃないと、おそらく倒せない」
「…精霊を喰っていた瘴気の獣の可能性が高いと言うことか。分かった…」
「フラーウム、メランは分身で皆を援護。…すぐに皆を助け出そう!」




