頂、神の社にて
「…ふー、やっと着いた。ここが…」
「守矢神社ですよ。…皆さん母屋の中ですかね」
…うーむ、まだ後ろから視線が、というか…
「……」
「…文さん、普通に着いてきちゃってるんですけど」
「あははー…なんででしょうかね…」
先ほどの白狼天狗、椛が後ろの木の影に居た。…尻尾が見えている。
「…演技なのかどうなのか。隠れられてないのもそっくりかい」
「式神、でしたっけ。たまに見かけますけど、可愛いですね」
「自慢の式神ですよ」
「あれ、文さんに…黄さん!お久しぶりですね」
「はい、宴会の時以来ですね」
「その…お身体は大丈夫なんですか?人里の防衛で倒れたって聞いたんですけど…」
「あー…大丈夫です。ちょっとスペルに反動と無理があっただけで…」
「そうだったんですか…あ、立ち話もなんですから中にどうぞ」
「はい、では失礼します…」
「私も失礼しますねー」
「はい、どうぞー」
「ふふ、いつ来るかなって待ってたよー」
「思っていたより遅かったな。…む、更に力が変質しているようだが…」
「あ、やっぱりなんですか…」
…やっぱり内側の力が混ざってると分かる人たちには更なる違和感として感じられるようだ。
「あー…やっぱりわかりますか…」
「…魔力のようだが、どういうことだ?君の力は…」
「ああ、説明しますから…驚かないでくださいね」
文さんには登っている最中にしつこく聞かれて折れて喋ってしまったので問題はないはず。…新聞に書かれそうになってもたぶん紫様の検閲が入るはずとも言ってあるし。
「…フラーウム、メラン、ビヤンコ…出てきて」
「はいはーい」
「どうしましたか?」
「何かしら?」
「うわっ!?」
「これは…!」
「わぁ…」
「へー…話としては聞きましたけど、実際に見ると…とんでもない存在ですね、黄さんは…」




