相談相手は難色を示す
「…紫様、僕が倒れていたところって」
「ああ、妖怪の山ね。…もしかして、行く気なのかしら?」
「ええ、もしかしたら僕たちなら分かる何かがあるかもしれないですから」
「別にいいけれど…来てからもう長い時間が経っているわよ。何も残っていない可能性の方が高いわ」
ある日の朝、朝食の後の一服中に妖怪の山へ行こうとする僕を、紫様は行かないように諭してきた。
「だとしても…」
「それにね、妖怪の山は侵入者に厳しいのよ。攻撃される可能性だってあるわ」
「それは…そうですけど」
「…ま、そのうち行くって言いそうなのは分かっていたけれどね。もう自衛もできるし…その馬鹿げた自己修復があれば大丈夫ね。私は責任を持たないから」
「分かりました。では…行ってきます」
不機嫌そうな紫様に一礼して、空間魔法でまずは人里まで行く。
「ふむ、妖怪の山に行こうとしているのか。まぁ、君の実力だったら問題は無いだろうけど…」
慧音さんにも一応相談してみたが、やはり難色を示す。
「…うーん、やっぱりその反応になりますか」
「妖怪の山が持つ独自のコミュニティは強固でな。…とりあえず、頂上付近までは無事に行く方法はある」
「…守矢神社への参道ですね」
「ああ。確か宴会の時には…」
「はい、挨拶をしました。まずはそこを目指した方がいいですかね」
「そうだな、それが無難だ。その後にそのうちの誰か…おそらく早苗になるだろうが、同行できれば何とかなるかもしれない」
「そうですね…では、向かってみます」
「ああ、気をつけてな」




