痺れの中の微睡み
…竹林での騒動から数日後。
朝起きると、両腕が痺れていた。
「…ん、む…片方はクーだよな…」
心配だからと布団に潜り込んでくるのがクーの日課になってしまっていた。…寝顔が可愛いので怒る気にはなれない。
「…もう片方は…橙…にしては大きい気が…フラーウム達はそういう事はしないしな…」
右腕の痺れはおそらくクーだ。…だとすると、左腕は…?
なんとか脚でかけ布団をずらしてみると…
「…紫様…?でも、なんかいろいろと縮んでるようなー…」
見た目にも明らかに縮んでいる、いろいろと。でも、中にある妖力…というか、着ている服も紫様のものだ。
「…そういや、境界をいじって姿も変えられるって言ってたっけ…」
「…ん、ぁぁ…っ、黄、おはよう…」
「…おはようございます、紫様…でいいんですよね…」
「…何よ、主の顔を間違える…って、あら、そういえばこの姿になってたんだったわね。ごめんごめん」
「なんでいろいろと縮んでるんですか」
「ん、この頃毎晩クーと添い寝してるから、このくらいの方が好みなのかと…」
「…普段の紫様の方が好きです」
「また直球で言うのね…」
赤面して、かけ布団で顔を隠す紫様だった。
「今日は出かけて手がかり探しでもするの?」
「それは明日からです。…やっとこさ光属性の特徴をつかんできたので」
騒動の後、ビヤンコから光魔法を習っていたので屋敷からは出ていなかった。
パチュリーさんの所に行って習うのも良いかもと思ったが…知らないうちに魔法の暴発で何かしらの影響が出てしまうのは良くないと思った。…まぁ、そんな暴発なんてしない類の魔法だったけど。
「ん、そう…じゃあ、もうちょっと一緒に寝ていられるわね…」
「藍様に見つかったら怒られますよ…」
「いいのよ、その時はスキマで私の睡眠を妨害したお仕置きをするから…」
あー…あのお仕置きか。一度だけ見たのだが、スキマに落ちた藍様が戻ってきたのは三十分後。…表情が蕩けきっていた。それを見られたのが恥ずかしかったのか…その日は部屋に閉じこもっていた。
「ん…すぅ…」
「ほら、貴方の式神ももうちょっと寝ていたいみたいよ」
「…仕方ない、ですね…紫様のお願いですから…」
僕達は、もうしばらく眠りに落ちることにした。
紫様による藍様へのお仕置きの内容については想像にお任せします。




