bianco
「…あー、また気絶か…」
「担ぎ込まれたのを見た時はどうなるかと思ったわよ」
身体を起こし、周囲を見る。
精霊達によって永遠亭まで運ばれたようだ。
「知らない女の子も居たし、しかも…」
「…ん、僕が失神中に何かあったんですか?」
「…あったといえばあったわね。ほら」
永琳さんの指差した先に、紫様とクーが座っていた。
「なんでここに…」
「クーが、『主様に何かあったかも…!』って言うからよ。来てみたら倒れてるし、見たことない女の子が看病してるし…まぁ、内包してる魔力で精霊なのはすぐに分かったけれど」
紫様と話している間にクーが抱きついて来たので、僕は大丈夫だからという意味も込めて撫でてやった。…ん?
「クー、足は治ったのか?」
「私が治しておいたわ」
「…お姉さんがやってくれたら、すぐ治っちゃった」
「…お、お姉さん…」
永琳さんはすごく嬉しそうなのだが、紫様は何故か気に入らない様子だ。
「…私には紫様って言ってくるのに…」
「…だって、主様の主様だから…」
「別にお姉さんって呼んでもいいのよ?」
「…うーん…」
…うーむ、和むなぁ…この感じ。っと、そうだ、彼女は…
「僕を看病していた精霊は?」
「向こうで休んでいるわ。どうやら黄の治療に力を使ったようだから」
精霊王クラスの魔力を持っているのに、そこまで力を使ったのか…?
「…どうやら、治療だけって感じでは無かったみたいだけど」
「強い魔力にあてられてうどんげがダウンしちゃったのよね。…まぁ、そろそろ休ませるべきだったからちょうどいいけど」
「えぇー…」
「すぐに連れてくるから、待ってなさい」
「わかりました…」
…治療以外に力を使ったとなると…瘴気の浄化がしっかり行われていなかったとか、そのあたりだろうか?
程なくして、その精霊は僕達が居る部屋に通された。
「私、光の精霊…ビヤンコと申します。マスター、身体の調子は…」
「あー、大丈夫…というか、もう僕の中に一度入ったんだね」
「ええ、フラーウム君とメランさんに既に話は聞いていますから。…確かめますね」
「えっ?」
顔がすぐ近くに寄る。額に感触。
…額同士を当てているみたいだ。
「…っ、ちょっと、何をしているのよ!」
「内側からでは、内包している魔力などの関係で瘴気の淀みを見つけられないのですよ。…もう、終わりましたから」
顔が離れていく。…顔が赤くなったりしていないだろうか。
「マスターの内部にあった瘴気の淀み、しっかり浄化できたようです…よかった…」
「…やっぱり、それで消耗してたんだね」
「はい、浄化に関しては私のような存在が適任ですから」
…あれ、じゃあ…僕は今までの二体を、どうやって浄化していたんだ?光魔法の基礎も全然知らないのに。




