初飛翔、そして事故
庭に出てみる。…草履が用意されていた。
「まぁ、飛ぶって言われてもな…出来るのか?」
藍さんから飛ぶ練習をしておけ、と言われて。
アドバイスをもらおうとしたのだが…
『うーん…イメージが大事、としか言いようが無いな。ま、君ならすぐに出来ると思うよ』
と言われてしまった。ちなみに藍さんは現在晩御飯の準備中だ。
「…うーむ、飛ぶイメージ…」
手本かなにかがあればやりやすかったのだろうけども…。
「…とりあえず、空中に浮かぶイメージでまずはやってみようかな」
水の中で、浮かぶようなイメージ。
何故か、容易に想像ができた。
「…っと、ん…?うわ、マジで浮いてる…」
30センチほどだろうか。確かに浮いている。
「…すごいな、面白い…もっと高くまで行けるかな?」
ふわふわと、少しずつ高度を上げていく。…視点が、屋根よりも高くなった。
「ほー…でもこれだと、浮遊なんだよなぁ。…やるからには、速さも必要か」
足の裏から、風が起こるような想像をしてみる。
「…お?おぉぉぉ!?」
なかなかに速い、というか速すぎるんじゃないか!?
「おーい、そろそろご飯が…」
「ら、藍さん危なっ…!」
制御できずにいたところで、タイミング悪く藍さんが来てしまい…そのまま突っ込んでしまった。
「…うぅ…」
「あいたた…大丈夫…か…」
「…ん、ん…なんか、柔らか…」
「……っ、早く手をどけんか!」
乾いた音が、響いた。