表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GRANJA  作者: 秋山さくら
第一章 始まりはいつもの日常
6/15

第4.5話 殺戮の夜

その日、ある場所で一つの村がなくなった。

「お母さーん!おかあさーん!」

「ぼうや、私の可愛いぼうやー!!」

「痛いよ・・・痛いよ・・・」

村は親を探す子供たち。子を探す親たち。怪我をして動けない人たち。悲しみを持った人で溢れていた。

動ける人はほとんどいない。村は真っ赤に燃えていた。


「ん~綺麗!綺麗だなぁ~」

村の中心の広場から子供じみた声が聞こえてきた。

「あんたそんなこと言う暇があるならもっと暴れてきな」

まるで、踊りを舞うかのように武器を振りまわしている女がその声に向かって叫ぶ。周囲にはパキパキと炎の燃える音が響き、声が聞こえにくかった。

「かまわん、放っておけ。奴はすでにノルマをクリアしている」

長髪の男が女に叫ぶ。

「そうかい!」

ブシュッ、ブシュッ

女が舞うたびに一つ、また一つと血しぶきが上がり、黒い影が倒れていく。広場を覆った煙が晴れると足元は真っ赤に染まっていた。

「ん~快感!」

女はそう叫び、血がたっぷり付いた刃先を空に掲げた。

「ふふふ、まだ足りていない。足りない足りない。もっと赤く、真っ赤にしないと・・・」

男は横目で女を見ながら、

「まだ始まったばかりだ。血よりも濃く、赤くなるぞ」

と言い、血の付いた剣を振り、血を振り払う。女はすばやく後ろを向き、自分の後ろで炎に見入っている少年に一言言うと、男共々姿を消した。

「クリアだ。帰るぞ」

女と男がいなくなると、少年はゆっくりと立ち上がり、空に向かって吠えた。


グァアアアアアアアアア!!!


シュンッ


少年を中心にして突風が吹き、村の炎を一瞬にして消し飛ばした。いつの間にか少年もいなくなっていた。しばらくして、誰もいなくなった村に少女が迷い込んだ。少女は真っ白なワンピースを着ており、手足は泥まみれだった。まるで魂が抜けたような目をしていた。フラフラと傷だらけの足で歩き、広場まで来ると力が抜けたように倒れた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ