第12.5話 救出された少女
「・・・おい!」
「・・・おいっおいっ!!・・・大丈夫か?」
呼ばれているのは分かっているのに目が開かない。体が動かない。
「どうした!?」
「この子生きている!生存者だ!!」
「え?この状況で生きているのか?おい!みんな生存者が1人いたぞ!」
・・・生存者? それって私のこと?
すぐ近くから聞こえる声が周囲に叫ぶ。その声を聞きつけて、周囲から人の足音がたくさんこちらに向かってくるのが音で分かった。
一体どうなっているの?
・・・私、どうなっているの?
怖い・・・
「・・・ここよ!ここ!早く来てください!」
女性の声がしたかと思うとはぁはぁはぁと荒々しく息を吐く音が聞こえた。かなり急いで走ってきたようだった。
先ほどの女性が更に言った。
「僧侶様が来てくださったわ!」
おぉ!これで助かるぞ!と歓声が上がる。
僧侶・・・?
手に誰かが触れた。体が一瞬強ばる。でも、すぐに体が暖かくなって来て、緊張が解けた。
あったかい・・・
自然と目が開く。
「赤い・・・空・・・?」
首を少しだけ動かして、隣に座る人を横目でみる。その人は白い服を身にまとっていた。
あたたかい・・・
ねむい・・・
あぁ・・・。だめだ・・・。
スゥーっと意識が遠のいていくのが分かった。