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GRANJA  作者: 秋山さくら
第一章 始まりはいつもの日常
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第9話 GRANJA

シュンッ――


赤く染まった空にぽっかりと大きな穴が開いた。


「うわぁあああああ!!」

叫び声とともに2人の人が穴から落ちてきた。

「なに?なんなのよー!」

ゆずねは体をがむしゃらに動かし叫ぶ。一緒にいる友は慌てることもなく、落下しながら下に広がる世界に目を向けていた。まだ上の方にいるため下に広がるのは雲ばかりだった。落下し始めて5分がたったときだった。雲が薄くなり始め、徐々に地表の様子が見えるようになってきていた。

友は地表が見えると、叫びつかれて目を閉じていたゆずねに声をかけた。


「ゆずね」

「ん、何?」

「見てみろ」


ゆずねはゆっくりと目を開けた。


「えっ?」


地表に広がるのは見たこともない巨大な島々に青々とした緑の大地。砂漠地帯、大きな山脈。それに真っ青な海。こんなに遠くにいても大きく見える建物の数々。


目を奪われる――


ふと、あまり眩しくないことに気付く。視線を自分よりも上に向ける。先ほど自分たちが出てきた穴はすでになかった。そして・・・


「太陽がない…?」


広がる空に太陽はなかった。

(雲の中に隠れているだけ?でも、太陽がないのにこんなに明るいのは…?それに…)


「空が赤い…」


まるで血のようにな鮮血の赤。


「赤いな…」


友もゆずねに続いて呟いた。


「なんで空が赤いの?」

「さぁな」


友はゆずねの質問にまともに答えようとしなかった。


「それより、このまま落ちていったら俺たちは死んでしまうぞ」

「え…」

「当たり前だろ」

「うん。まぁそうなんだけどね」

「そこでだ、どうにかしようと思う」

「うん。どうにかして欲しいです」


あまりに現実離れしてしまっているので、ゆずねにとっては実感がなく、そこまで動揺することにはならなかった。

(夢なら早く覚めて下さい)


「ゆずね、手を出せ」

「手?」

友に言われた通り、ゆずねは手を差し出す。友はその手を握る。

「な、なに?」

「いいから。俺の後に続いて、俺の言ったことを一言一句間違えずに言うんだ」

「は?」

あなた何言っているの?というゆずねの覚めた目を無視して、友は言葉を唱えだした。

「我、この地に再来しせんもの」

ゆずねが復唱せずにいると友が睨みを利かせる。ゆずねはしぶしぶ後に続いて唱えだした。

「我は新しき子なり、契約の証なき今、古き繋がりによって光を望む。ルカルド・リティームよ我に力を授け賜え」


唱え終わると、光はゆずねを包み込む。そのまま小さくなった光は繋いだ手を渡って友の方へ移動した。光は再び大きくなり、今度は友を包み込んだ。光が眩しい輝きを放つ。ゆずねは眩しくて目を閉じる。そのままゆずねは意識を失った。

(暖かくて、気持ちいい。なんだか…眠たくなってきた…)


目を閉じる一瞬の間に友の背中に羽が生えたのが見えた気がした。その羽は綺麗な白い羽で、まるで天使の羽のようだった。


「友…」


手を伸ばすと友は落ち続けていたゆずねを抱きしめた。

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