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序章
「ファンタジー」。
魔法、幻想的、空想的な事物をあたかも現実のように鮮明に書き綴ったもの。
或いは、「御伽話」。
ありとあらゆる「魔王」、「勇者」、「天使」、「悪魔」、「神」、「魔物」、「魔法」、「人狼」、「竜」、「意志を持つロボット」、ましてや「異世界や異なる惑星、時間軸上の物語」。
それはあくまで現実の様に書き綴ったものであり、絶対に実在したりはしない。
否、実在してはならない。
それは、それがそういうものとして認識されているからだ。
この現実の世界ではそれがそう在る様にできている。
誰もが「心の底」からは信じえぬ「虚構」。
それが、ファンタジーであり、御伽話である。
では現実に実在している人物が、それをその身に体験してしまえばどうなるのだろう。
こんなことは、絶対にこの世のものには成し得ない。
それができる存在はただひとつ――――――神たるもの。
――――これは、ほんの些細な神の悪戯によって、現実のあるべき路線から外されてしまった、ひとりの少年の物語。