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虹語り  作者: 虹野翼
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メンテナンス前


夕刻になって、わたしはポッドに戻った。

もう一度昼間の巻き戻しをしたがやはり 情報量の不足の為か回答例も曖昧なままだった。


そういえば、明日はメンテナンスだった。

わたしは眠りに着く。

深い眠り。


それはひょっとしたら、もう目覚めない程の深さ。


例えるなら海の底でゆらゆらずっと漂っているような。

僅かに差し込む陽差し。

微妙な明るさの水底。

その中で漂っているのだ。

どんなに波立とうともまだ目覚めの時期でないとばかりに、堅く閉じられている目蓋。


けれどわたしはウツクシイという感覚を持たない。


色も忘れた。


そもそもすべてに備わっている色が語りかけるなんて幻想だ。

人の幻想が生み出した幻。


幻はホログラムと何処が違うのだ。


消えてしまえば同じ。





「制御機能の低下が見られるな。回数を増やしてみるか…」

誰かの声が聞こえた。

それがわたしの起床に繋がる。


「……カナタ……」

「どうだ、調子は?」


「普通。けど学習ソフトの起動が重い」

「うーん。そればかりは簡単に減らせないな。それがソラの仕事だし。他には?」


わたしは無いと答える。

けれど。

気になったことはある。


わたしにはなかったから。


いつもの定時行動の記憶が。


本来なら必須伝達事項。




けれど伝えなかった。


昔、喪失してしまった筈の直感システム。

それが機能しているのか。


確証は何も無い。


とりあえず手続きを済ませると今日はポッドに戻ろう。

メンテナンスで大分消耗した。



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