二章…カナタの章
ソラをパートナーにしたい。
心からの願い。
単なる同情ではなく 。
反面、叶わないような気がする。
拭えない不安。
暗い思考が妨げる己自身の未来。
二人にはそもそも同じ未来図は有り得ない。初めから違いすぎてしまっているのだ。
パートナー。
普通の意味でのそれが成り立つ土台はないのだ。
ふた昔前では普通の現象だった恋と愛とか結婚。
今の時代では廃れてしまったそれに伴う文化。
その中で唯一形を留めているのがパートナー。
同じ暮らしの営みを行い仕事を相互で継承する。それがパートナー。例えば片方が何らかの事情で仕事ができない状況に陥った場合、そのパートナーの仕事を受け継ぐ。それが不可能なら別に継承者を探す。
そこには基本的に血縁は求められない。軽視される。
しかし、ある程度具体的な関係性は-パートナー同士がまたくの他人であるよりは良いとされている。
だが。
関係性よりは-彼女というパートナーが欲しかったのだ。
傍にいて欲しかった。
契約だけでない。
継承でもない。
だが。
ソラにはない。
他の誰とも。
自身とも。
ソラにはない。
過去も未来も。
そして今も。
パートナーを欲しない。
いや、そもそも友人といった関係すら彼女は欲していないじゃないか?
ソラは砂時計の砂が落ちるようにただ淡々と命を生きる。
それがソラ。
カナタとも他の誰とも違う宿命を負ってしまった時から。
ソラはカナタをオサナナジミと認識している。或いは仕事仲間だと。
それは間違いではない。
しかし正確でもない。