狂った感情と感性
(豪紫・摩那)
「僕の名前、楓っていうんだ。ね~・・・いいでしょ?ここ。僕が作ったんだよ。真っ暗な森。そこには何がいると思う?」
男はフードを取り、初めて素顔を豪紫達の前にさらした。
黒髪に緑と黄色とオレンジのメッシュ、左頬には蜘蛛のようなデザインのタトゥーが刻まれていた。
「まだわからないの?これだから死神が嫌いなんだ。頭堅いから。答えはね・・・ゾンビだよ。」
その言葉と同時に森の四方からグロテスクな塊が一斉に豪紫達に向かって飛んできた。
「摩那!」
「はい!」
摩那は大きな扇子を空に向かって振り上げ「咲き誇れ!黒百合!」と叫んだ。
すると、全てのゾンビの胸元に穴が空き、ユリが咲くかのように黒い血が勢いよく噴出していく・・・。
しかし、摩那何かに気づいた。
そのゾンビたちの正体を・・・。
(神崎)
「離して!」
「嫌です。離したくはありませんので・・・。」
神崎と澪との間で冷たい空気と沈黙が流れていた。
その張り詰めた空気を壊すかのように神崎はこう叫ぶ。
「燃え盛れ、漁火」
すると自分と一緒に澪の身体も炎で燃やしていく・・・
そのときに一瞬、澪の手が身体から離れた。それを利用し、神崎は自分を包む炎を消し、澪を蹴り飛ばして距離をとった。
しかし・・・
神崎は左胸に冷たい何かを感じた。
その場所を見ると、澪が手にしていたナイフが貫通していた。
「澪・・・」
神崎が静かに後ろを振り向くと、静か見微笑む澪の顔が見えた。
「言ったでしょ。そう簡単に僕は死なないんですよ、僕は。それに砂羽のことはよくわかってるからね。どういう攻撃をするかも。」
そういいながら、腰元に右手を回していく。
「やっと再会できたんです。あの時のように遊びましょうよ。弁慶も、もうこの世にいないことですし・・・」
澪はそう耳元でささやきながらさっとナイフを抜き、ナイフに付いた血を舐めていた。
「ずっと一緒ですよ、これからも。」
そういいながら、澪は意識のない神崎を強く抱きしめた。
そして彼女を抱えながらその場を去ろうとした。




