弼の実力
数日後・・・
(第五部隊 隊舎解剖室)
「霧乃宮隊長・・・これは、武具を使用していません。」
6番目の被害者の傷跡を見るなり弼は驚いた表情で伝える。
「どういうことだ。」
「首の傷なんですが、これは、武具で、斬ったりした時につくようなすっとした傷ではないんです。この傷は、噛み付くか、引っかくとか・・・体の一部を使って殺したとしか・・・。」
「僕もそれは見て判断できました。僕が見る限りでは、首に噛み付きそこから血を抜き取ったようだけど。」
「あと、山王隊長。あと2番目の方なんですが、おそらく20~30年ぐらい使われていて、丁寧に手入れされた大きな鎌のようなものか、三日月のような形をしたナイフです。刃の大きさとしては・・・おそらく60cm以上1m未満のものだと。」
「そうか。」
(第四部隊 隊舎)
「隊長・・・疲れました。」
「帰ってきて早々ごめんね。」
「一気に6体も遺体診るなんて聞いて無いっすよ。」
「本当ごめん。それと・・・ついでで悪いんだけど・・・」
「も・・・何すか?」
「この資料、第3部隊の龍崎隊長に届けてくれない?」
「まじっすか・・・。俺、まじで苦手なんですけど・・・。」
「大丈夫よ。はい、行ってくる!」
そういって霧乃宮は小僧院を送り出した。
(第三部隊 隊舎)
「あの・・・」
弼は、そこにいた隊員に龍崎の居場所を確認していた。
「あ!お前、小僧院弼だよな?」
そこに司が現れ、マシンガントークをするように弼に質問を浴びせていった。
「あの・・・俺・・・」
「何?」
「龍崎隊長に会わないといけないんだけど・・・。」
「じゃ、一緒に行こうぜ。俺も用事あったの思い出した。」
そういって龍崎の部屋に向かっていった。
(龍崎の部屋)
コンコン・・・
「東凰院で~す。」
「第四部隊隊員 小僧院弼です」
「入れ~。」
司と弼が部屋に入ると、机でタバコを吸いながら書類に目を通す龍崎とソファーでお茶を飲みながら、隊員の照合をする獅織と一馬がいた。
「あれ?豪紫さん達はどしたんすか?」
「飯買いに行った。で、横の・・・」
「はい、小僧院弼と申します。我が隊長、霧乃宮椿の命により書類をお届けに上がりました。」
そういって、龍崎に書類を渡す。
「へーい。お前・・・あれなんだよな?傷口見て武具の種類がわかるって。」
「あ・・・はい。完全にではないです。でも、武具の使い方とか、使ってきた年数で大体はわかります。」
「ほ~。すごいな。じゃ、後ろの奴の武具はどんなんだと思う?」
そういいながら、帰ってきた豪紫と摩那を指差した。
「護憲・・・お前指差すなよ(怒)」
「煙草で指してますけど(笑)」
「一緒だろ。」
そんなやり取りを見ながら弼は何かに気づいた・・・。
「も・・・もしかして・・・そちらの女性が・・・」
龍崎は、少し驚きながらこう答えた。
「おまえ、やっぱすげーわ。正解!」
「何がだよ?護憲。」
豪紫は不思議そうな顔をして、彼らを見つめていた。
「豪紫様。龍崎様は小僧院様に私が武具かどうか判別させていたようです。」
「そうなんだ。で、見抜いたと。」
「はい。」
「やっぱり君凄いね。椿ちゃんから話を聞いてた通りだわ。でも、目の前で見るの初めてでしょ?擬体化した武具を。」
「はい。僕も教科書でしか・・・」
「でしょ?」
そういいながら、豪紫は、弼の頭に手を乗せ・・・
「で、どう?俺の摩那ちゃんは?かわいい?」
「あ・・・あの・・・」
「で、どうよ?」
そのやり取りに龍崎はあきれながら・・・
「お前な~・・・途中から質問おかしくなってねーか?エロ親父が自分の仲間を無理やり増やそうとしているようにしか聞こえん・・・。」
といって止めた。




