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KEY  作者: Kanon-K
39/43

堪忍袋の緒が切れる

(豪紫・摩那・朝比奈)



「きゃきゃきゃきゃ!苦しめ!もっと苦しめよ!もっともっと苦しめ!」




雷は、摩那の首を締め上げ、苦しむ姿を見て狂ったように笑い出した。



「摩那!」

「豪紫様・・・私・・・」

「もういい!戻って来い!」


そんな豪紫をあざ笑うかのように、雷は次の言葉を放った・・・



「だ~め!!もっと苦しむ顔見たいから!」



豪紫は切れそうな心をなんとか抑えていた。



「だって、久しぶりだよ!たくさんいじめまくって、こんなに苦しむ顔が見れたんだからさ~。だめだよ~きゃ~きゃきゃきゃ~!!」




「てめぇ・・・」




豪紫の右腕が、黒紫色の霧に包まれていく・・・


次の瞬間、豪紫の右手に大きな弓が握られていて、それが右腕と鎖で繋がっていた。



「ひゃひゃひゃ・・・面白そうな物持ってんな!かかってこいよ!」



雷は、右手の中指を上に向け、挑発するかのように手招きをする。

それを見て、豪紫の堪忍袋の緒が切れた。




「ぶっ殺してやる!」




右手の弓に紫色の矢が現れると、豪紫はそれを雷に向け放つ。


立て続けに・・・




「打て打て!どんどん、どんどん!」



雷はそう言いながら摩那を離すと、森の木から木へとぴょんぴょんと飛び移り、矢をかわしていく。

朝比奈は、落下して摩那をキャッチするとすぐに結界を張る。



「豪紫・・・様の・・・そばに・・・」

「だめだ!この身体じゃ戦えない。ここでいろ。」

「嫌・・・です・・・ここで私がこのように・・・休んでいては、武具として・・・示しがたたないのです・・・だから・・・」


「お前のために戦ってる豪紫の気持ちはどうなんだよ!少しは分かってやれよ!」



朝比奈は思わず叫んでしまった。

摩那は、はっと我に返り言葉を出すのをやめた。



「い・・・今はここで豪紫を見てろ。分かったか?」



そういいながら、摩那の目をじっと見て静かに微笑んだ。


「万が一やばくなったら俺が動く。摩那は豪紫を頼むぞ。」

「了解しました。豪紫様は我が主。お守りするのが私の使命ですので。」


そういって、真剣な目で朝比奈を見つめていた。



「ひゃ~ひゃっ!もう終わりかよ!」



雷は、豪紫を挑発するかのように高らかに笑いながらそういった。

しかし、豪紫は再び矢を放とうとはしなかった。





「は?どうしたんだよ、死神さん?もう終わり?」



「終わったのは、お前だよ、雷!」




豪紫は、無駄に矢を打っているのではなかった。


雷の動きには癖があり、対象物(この場合は豪紫)の周辺100Mぐらいの範囲を無作為に逃げている。それ気づいた豪紫は、雷の動きに合わせて結界を張っていたのだ。





「はぁ?俺が終わり?ふざけんな!」





雷は、キレ気味で豪紫にくって掛かっていたが、次の瞬間それが現実になった。

雷の両手足が急に動かなくなり、動きを止めていく。



「どうだ?雷。俺の張った蜘蛛の巣は。」

「どう・・・いうこと・・・だよ・・・俺は・・・攻撃を受けて・・・ないのに・・・」


「お前が俺の結界を踏んでいったからさ。俺の結界は木に刺さった矢と矢の間で結界を繋げていく。だから、複雑な結界が出来るんだ。お前には残念だけど。」


豪紫は、自慢げにそういった。



「こんなもん・・・」



そういうと、雷は自らの腕に噛み付き、引きちぎろうとしていた。

豪紫はそれを止めるために首に思いっきりチョップをし、無理やり腕と口を引き離した。



「やめろ!」



雷はなおももがき続ける。怪我しようが血を噴出そうがかまわず・・・




(こいつ・・・痛みとか感じてねぇんじゃ・・・)




「とにかく!お前を今から封印する!」



そういうと、豪紫は間髪いれずに雷を封印した。



「豪紫様・・・」



そこには、傷だらけの摩那が申し訳なさそうに立っていた。


「摩那!こんなに怪我してじゃないか!大丈夫か?」


豪紫は、摩那の身体を見るなり、今までの心配事を畳み掛けるように口にしていく。


「豪紫様・・・申し訳・・・ございません。私・・・武具としての役目を・・・」

「十分果たしてるよ。」


豪紫はそっと摩那を抱きしめる。




「だから、気にすんな。」

「はいはい、そこまでにしてくんねぇ?うざい。」

「そんなこというなよ!尊!」

「はいはいど~も。とにかくここから出るぞ!」



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