戦いの火蓋は切られた。
(獅織・司)
「どこだよ・・・ここ・・・」
獅織が目を覚ますと、薄暗く不気味な空間が広がっていた。
建物と思われる物の残骸が、ちらほらと見受けられる。
ふと、横に目をやると司がまだ気を失っていた。獅織は司を叩き起こす。
「獅織さん・・・?」
「まだ寝ぼけてるみたいだね?それより司、俺達、敵の空間に引きずりこまれたみたいだよ・・・」
「そうみたいっすね・・・。」
不思議な空間の中を彼らは見回す。
その時だった・・・
「いらっしゃい。」
朽ちかけた木の下に、フードをかぶった男がいる。
手には小さな木のブロック。
彼は、そのブロックを手の中でもてあそびながら獅織達に近づいてくる。
獅織達は、さっと身構えた。
「あ、この前の死神と違う・・・じゃ、僕の自己紹介だね。僕は楓。君達が殺したマッドデビルなんだ。ね・・・何して遊ぶ?」
その男、楓はフードを取り、狂気に満ちた笑顔で獅織達にこういった。
「ね~・・・何して遊ぼうか・・・死ぬまで(笑)」
楓の手が獅織達に向けられると、彼らを一気に仕留めようとする・・・。
(朝比奈)
朝比奈が目を覚ますと、そこには深い森が広がっていた。
何処までも、何処までも暗い森。
「くっそ・・・何も見えねぇ・・・。」
朝比奈の目がこの森に馴染むには少し時間が掛かりそうなくらい暗い森・・・。
朝比奈が立ち上がろうとした時、背中に強い痛みを感じる。
誰かに蹴られるような痛み。
「ひゃひゃひゃひゃひゃっ!獲物みっけ!」
また強い痛み。今度は何かで切られたような痛み・・・。
「俺に勝てると思ってんの?」
「・・・っ・・・」
朝比奈は、左腰に装着していた武具を取り出し、弾を入れる。
リボルバー式のピストルのような武具。
彼は弾を入れ終わると、それを空に向かって打っていく・・・。
すると、空が瞬く間に明るくなっていく。
「ちぇ!もっといじめてやろうと思ったのに!」
怒りを含んだ声の方向を向くと、雷が枝の上から睨んでいた…
「でもいいや。これからもっといじめられるし・・・お前が死ぬまでずっとな・・・」
「それはどうだろう。」
朝比奈は、そういうと雷に向けて発砲。
「俺のこと、なめてんのか?」
雷の爪の間に銃弾が受け止めていた。
「いえ、今のは僕からのお礼です。さっきの攻撃の。今度は僕の番ですよね?」
そういいながら手にしていたピストルに念を入れ始める。
すると、ピストルは姿を変えガトリング・ガンに変化していた
「面白いじゃねぇか!絶対にお前を仕留めてやるかんな!」
「ええ。僕も受けてたちましょう。」
彼らの戦いがその言葉と同時に始まった・・・。
(霧乃宮)
霧乃宮の前に広がっていたのは、冷たい霧と水と氷が支配した世界だった。
何もかもがすべて白で染まった世界に霧乃宮は恐怖を感じる。
「まさか、あなたが僕のお相手とは・・・奇遇ですね。」
そこには黒のスーツを身に纏った澪がいた。
両手には白い大きな釜を持って・・・。
「相手が女性であったとしても、僕は手加減とかしない主義なので・・・。」
そういうと、澪の姿はそこにはなかった・・・。
「あなたの目は、前しか見れないんですね。」
足元の氷の膜を通して霧乃宮の視界に入ってきたのは、敵の腕の中にいた自分だった・・・。
「可哀想に・・・」
澪は霧乃宮の首をかき切ろうと鎌の刃を首に当てていた・・・。
「いただきますね。あなたのこれからの時間全部。」
澪は、静かに腕をスライドさせた。
足元は紅く染まっていく・・・
(不動)
「・・・っく・・・」
「やっと、目、覚ましたみたいだな、くそ死神。」
不動の視界に入ってきたのは、見下すように自分を見つめる焔だった。
「俺は、今からお前を処刑する。でも、このまま普通に殺すのは面白くもなんともねぇからな!」
そういうと、焔は不動のわき腹に思いっきり蹴りを入れた。
「てめぇが、動けなくなるまでボコボコにしてから殺すことにした。そのほうがお前らに殺された奴らにもいい餞になるからな!」
焔は、さらに攻撃を加えていく。
「もっと前見ろよ!クソが!」
左手に持っていた大きな刀が、赤黒い光を放ちだす。
不動は、焔からの攻撃で鈍くなった身体で、必死に立とうしたその時だった。
不動の身体を何かが貫通していった・・・
左胸から血が噴出し、地面に散らばっていく・・・
失われていく視線の先には、左手の刀を不動に向けたまま不適に笑う焔の姿があった・・・。
「さ、処刑執行の時間だ。」
焔の刀が再び光りだす
「最後の一言も願いも受け付けない。」
焔の声は怒りに震えている
「お前らがしたことを同じように殺してやるよ!」
焔は、不動に向かって走り出す。
怪しく輝く2本の刀を手に・・・




