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KEY  作者: Kanon-K
22/43

遭遇


この時期、街では集団殺害事件が立て続けに発生していた。

遺体の状況、行方不明者、どれをとっても最初の事件と同じ状況であった。


柊はこの連続事件の陣頭指揮を執り、神崎は子どもにこの事が耳に触れないように仕事を休み、離れで子どもと一緒に行動していた。



「砂羽~!弁慶、今日も遅いの?」

「そうだね。たくさんお仕事してるから仕方ないね。」



神崎はそういいながらキッチンでぜんざいを作っていた。


「弁慶が帰ってきたらみんなで食べようね。」


といいながら・・・


(第二部隊 会議室)


「どれもこれも・・・あの時と一緒か。」


そういいながら机に足を投げ出し煙草に火をつけ、現場写真を見つめる。




「早く食い止めねーと・・・。」




そう煙草を銜えながら柊がつぶやいたその時出動命令が出た。



「またか・・・。気合入れていくか。」



そういうと自分の顔を拳で軽く殴ると、武具を持って部屋を後にした・・・。


(第二部隊 離れ)


「神崎。」


神崎は声の方向を見ると同じ部隊の男がいた。


「さっき出動命令が出た。柊から伝言。」


そういうと神崎にメモを渡した。


「弁慶帰ってこないの?」


男の子は男にそう聞いた。


「ごめんな。今日は帰れないって。これ、柊さんから。」


そういうと、男の子に紙袋を渡した。

袋の中には饅頭やら金平糖やらたくさんのお菓子が入っていた


「じゃ、俺も呼ばれてるから・・・。」


男はそういうとさっとその場を後にした。

神崎に渡されたメモはこういうものだった。




砂羽


また例の事件が発生した。

前と同じだ。

俺のほうからも他のやつには言ってるが、万が一あいつの耳にでも入ったらやばそうだから・・・

護憲の事頼んだ


弁慶



このメモを見たとき、神崎はいやな予感がしていた。



「砂羽!見てこれ!」



男の子のうれしそうな声が神崎の耳に入ってきた。



「お菓子いっぱい!どれ食べる?」



神崎は少し笑いながら「これ食べよっか。」といいながら男の子に饅頭を渡した。

無邪気に笑う男の子を見ながら、神崎は不安にかられていた。



(事件現場)


柊は、現場に到着すると、メンバーを広範囲に配置させ現場検証を始めだした。


「またか・・・。」




また同じ状況。

また同じような状態の遺体。

また同じ行方不明者のケース・・・



「どうしたら・・・こんな事が止まるんだよ(怒)」


柊は、いらいらしながら煙草に火をつける。




“アナタガキエレバトマルンデスヨ・・・”




煙草を銜えた瞬間、聞いたことのない声が頭の中に入ってくる・・・。


「柊さん?どしたんすか?」

「お前ら・・・結界張るぞ。まだ、この中にやった奴がいるかもしれない。」


柊の周辺にいた死神達は、広範囲に広がっている死神達にすぐに鳥を飛ばした。

そのあとすぐに特殊な結界を張ろうとしていた時である。



「無駄ですよ。柊弁慶。」



その声に振り向くと、周りにいた死神達が突然、バタバタと倒れだす。

その先に黒い仮面の男が鎌を持ってこちらを睨んでいる。



「お前だけは絶対に消す!」



仮面の男がそういいながら、2本の鎌の刃を弁慶に向け叫ぶようにこういった。



「貫き通せ!水雹すいひょう!」



柊はとっさに防御に出たが、その防御すらも貫く尖った氷の塊が身体に冷たく突き刺さっていく・・・



(第二部隊 隊舎離れ)


男の子を寝かせた後、神崎は部屋で学院時代のアルバムを眺めていた。



「弁慶・・・この時も今の何にも変わってないじゃん・・・。」



そういいながら目に涙を浮かべていた。



(事件現場)


柊は、体中に攻撃を受け、ほとんど動けない状態であった。



「あなたがいけないんですよ。僕の大事な砂羽を横取りしたんですから・・・。」



仮面の男は力任せに柊の顔を踏みつけながらそういった。




「てめぇか・・・砂羽を好き勝手にしやがった奴は!」




柊は、こみ上げる怒りを必死に心の中で抑えようとしていたが、その言葉が感情のリミッターを外してしまった・・・。

柊は右手で男の足の動きを止めると「紅蓮乱舞!」と叫んだ。

すると男と柊の周りをたくさんの炎が包み、大きな火柱を形成していく・・・。



「俺も、お前だけは絶対に許さねぇ!」



そういいながら、柊は男の足を持ったまま立ち上がり、力任せに火柱の中へ放り込んだ。

男が火柱に取り込まれると炎はさらに勢いが増し柊の感情と同化するかのように大きく燃え盛る・・・。



「そんな攻撃で僕が死ぬとでも?」



柊の後ろには男がいた。

さっきの攻撃の影響で仮面は少し壊れ、素顔が若干見えている。



「別に思ってねーよ。でも・・・お楽しみはこれからだ。」



柊のその言葉を合図に男の左足に激しい痛みと熱が襲ってくる。

男の左足には赤く、昇り龍を模る様な大きなあざが刻まれていた。

そのあざは、左足だけにとどまらず、首元まで痛みと熱を伴って動いていく・・・。


「弁慶・・・貴様・・・」


動きを封じられ、どうすることもできない男に対して柊はこういった。


昇華緋龍しょうかひりゅう体の動き、本能、あらゆる機能・能力全てを食い尽くすまで止まんねぇぞ。これは、俺からお前への制裁だ。」



背中に準備していた薙刀を取り出し、男に刃を向けた瞬間、柊の右胸を白い何かが突き抜ける・・・

柊がゆっくり振り向くと、仮面をつけた小さな男がそこにいた。




「でもその術は、使った側が死んだら止まる。でしょ?」




その言葉を聞いた瞬間、柊の視界は徐々に黒く染まっていく。




(砂羽・・・護・・・頼りない俺でごめんな。でも、どんな身体に・・・なっても俺は・・・)




(翌朝 第二部隊 離れ)


「砂羽・・・おはよう。」

「おはよう。護。」

「腹減った・・・飯。」

「その前に、歯磨きでしょ!いっておいで!」


朝のいつものやり取りがそこにはあった。


次の瞬間まで・・・


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