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KEY  作者: Kanon-K
21/43

敵が味方に変わる時

焔は、さっと後ろを向き右の刀で澪の鎌を止める。


「早いが、隙だらけだろ。」

「その言葉お返ししますね。焔さん」


そういいながら澪は微笑んだ。

次の瞬間、焔の身体は冷たい空気に覆われ始めた。

鎌に触れた刀の部分からどんどん凍り始めていた。

焔は何度も炎で溶かそうとしたが、冷たい空気は身体を離れず、体力を奪ってゆく・・・。


(闘技場入口)


「田舎者のガキどもが入るところじゃねーんだよ!さっさとおうちに帰りな。」


雷と楓は入り口の用心棒に入場拒否されていた。


「・・・楓。」

「何?」

「こいつ。殺っちゃっていい?」

「やれるもんならやってみろよ!俺に勝ったら入らせてやるよ!」


すると、雷は目の色を変え、いきなり用心棒に飛びつき、顔面に思いっきりこぶしを振り下ろした。



何度も


何度も



「これなら文句ないよな。入ろうぜ!」


「もうそのくらいでいいと思うよ。雷・・・」



(地下闘技場 リング)


冷たい空気に体力を捕られながらも、焔は刀を放さず、攻撃する機会を狙うかのように鋭い目で澪を睨んでいた。



「楽しい戦いをありがとな。澪、さようなら!」



そういうと、焔の刀は黒い炎に包まれ形を変形させていく・・・

焔は刀の持ち方を変えると腕を横に広げてこういった・・・



「全てを切り裂け!黒龍!」



その言葉と同時に腕を高速で前に向けて振り込んだ。


その頃、楓と雷は、リング近くで見ようと人の波を掻き分けて前に進もうとしていた。




「楓!伏せろ!」



雷の言葉に驚きながらも、楓はその場で頭を抱えながらしゃがみ座った。

するとその上を黒く大きな物体がものすごい勢いで通過していく。

ふと、横を見るとそこらじゅうで血の海ができている。


何が起きたのか楓はすぐに理解ができた。

数秒後、同じ方向に次々と観客は倒れていった・・・。


リング上では、焔がふらふらになりながらもその場で立っていた。

しかし、目の前に澪の姿はない。

その時、焔の視界に白い何かが入った。


それは、澪の2つの大鎌の刃だった。




「うそ・・・だろ・・・」




そういうと、焔はその場で気を失ってしまった・・・。





焔が目を覚ますと、そこは救護室だった。



「まだ動かないほうが良いですよ。」



そこには、フードを被った男が包帯を持って立っていた。


「お前誰だ?」

「僕は楓・・・。」

「俺は焔だ。ここはどこだ?」


楓は困った顔で焔にこういった。



「澪さんの後を追ってここに来たから・・・ごめんなさい。あ・・・あの・・・」

「何だよ。」

「焔さんもマッドデビル・・・なんですよね?」



焔は少し笑いながら「そうだ。」と返した。


すると、楓は後ろを向き・・・


「雷!焔さんもマッドデビルだって。」

「澪さんも焔さんも俺達と一緒!」


後ろで何か得体の知れないものを貪り食ってる男がそう答えた。



「お前、何食ってるの?」

「うん?腕。」


そういいながら、雷は闘技場で死んだ客の腕を焔に見せつけた。


「食べる?」

「い・・・いらん・・・(恐)」



(こいつも、いろんな意味で狂てるわ・・・)



すると、救護室のドアが開くと澪が入ってきた。


「僕の勝ちですね。焔さん。」

「まだ、負けたって言ってねぇだろ!」

「でも、その状態で僕と戦えますか?」


焔は自分の身体を見た。

普通ならすぐに回復するのに、傷がふさがらず、腕もほとんど動かなくなっていた・・・。


「無理ですよね。」


「・・・くそっ(怒)」


焔の目は悔し涙でいっぱいだった。


「約束守っていただきますよ。」

「あぁ!その代わり、終わったらもう一度戦え!澪!」


そう叫ぶと、焔は壁に顔を向けてしまった。


「約束って何ですか?」


楓は気になって澪にそのことを聞いた。


「死神という存在を消すために協力するって事です。最終的な目的は違いますが、僕も焔も死神が嫌い

っていうことは一緒ですので・・・。」


すると雷が不思議そうに見つめながら「で、澪さんの目的って?」と聞いた。


「澪でいいですよ。僕には好きな方がいるんですが、その方を死神に取られてしまいましてね・・・」

というと、焔が壁を向きながら「その女も死神だけどな。」とふてくされたように言葉を発する。


「じゃ、どうして死神を消すんですか?」と楓が聞くと澪は少し笑いながらこういった。



「彼女の周りを消して彼女だけにしてしまうんです。僕だけしか見えないようにするんですよ。」



雷は「ふ~ん」といいながら、焔が横になるベットに少し腰を下ろすと「焔の目的は何?」と聞いた。


「俺は、死神に家族を皆殺しにされた。種族の抹殺とか言ってよ・・・俺が家に戻ってきたときにはもう遅くってさ・・・俺は、死神に復讐する。それだけだ。」


焔は壁に顔を向けたままそう答えると「お前らはどうなんだよ?」といってきた。


「俺は、住んでる森を死神に燃やされそうになった。ま、俺だけで全員ぼっこぼこにして殺したけどな。だから死神嫌い。」


雷はそういいながらまた持っていた腕を食い始めた。



「僕は、悪魔だからって誰にも相手にされなかった。大体、死神のやつらが先頭になって・・・生きてくも大変だった。だから、遊んでくれなかったやつみんなバラバラに刻んであげた。あとは死神だけ。僕も死神嫌い。」



楓はそういうとフードを取ると、左頬に黒い蜘蛛のタトゥーが刻まれていた。

それを見た澪達は驚きを隠せなかった。



「このタトゥーは、子どもの時に死神に入れられたんだ。すんごく痛かったよ。でも、止めてくれなかった。笑いながら僕を実験台にしたんだ。だから僕はその場でその死神達を殺したよ・・・。だけどまだ許せない。僕も一緒に参加していいですか?」



澪はそっと楓を抱きしめ「ありがとう。よろしくおねがいします。」といった。


「俺も参加する!楓も一緒だし、俺も死神嫌いだから!」


そういいながら雷は食べ終わった骨を上に挙げながらそう答えた。


「お前早くその骨何とかしろよ!」

「怖いの?焔?」


「また呼び捨てかよ(怒)それにこ・・・怖くはねぇよ・・・」


「びびってる(笑)」


こうして彼らは、ともに行動することをにした。



それぞれの目標を達成するために・・・


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