家族になろう
その後
神崎は意識を取り戻し、第二部隊の離れで静かに療養していた。
「砂羽・・・」
庭の縁側に男の子がひまわりの花を持って座っている。
「ありがとう。護。」
神崎は疲れているかのようにか細い声でその花を受け取った。
「あのね、今日弁慶が・・・」
「俺が、何だって?護。」
その子の後ろには、小さな紙袋を持った柊が仁王立ちしていた。
「お前、朝のこと伝えようとしただろ(怒)」
「いいじゃんか~本当の事だし(笑)」
神崎の前で彼らは笑いながら庭で追いかけっこをしていた。
その光景を見て、神崎はくすくす笑っていた。
「弁慶・・・」
「やっと笑ったな。砂羽。」
その瞬間、柊は少しだけあのときの気持ちを忘れられた気がした。
「よし!砂羽、左手、出してみ。」
「何だよ。いきなり・・・。」
「護。お前も左手。」
「俺も~?」
「いいから!出せ!左手!」
そういうと、紙袋から横長の箱を取り出した。
中を開けると、2つの指輪と小さなブレスレットが1つ。
「砂羽・・・護・・・俺ら、家族になろう!」
そういうと、砂羽の左手薬指にシルバーで昇り龍のデザインがされたアームリングを、男の子には同じデザインのブレスレットを取り付けた。
「ちょ・・・弁慶!指輪の位置!どういう意味かわかってんのか?」
神崎はか細い声だが、驚きながら柊に問い詰める。
男の子は横で不思議そうに子の光景を眺めている。
「分かってるよ。だからそこにつけた・・・これで家族だ。」
そういいながら、柊自身も左手の薬指に同じデザインの指輪をつけた。
「いいよな?砂羽。」
「・・・はい。」
柊は微笑みながら砂羽と男の子の手を強く握った。
「おい!弁慶!砂羽!どういうことだよ!ここ(左手薬指)に指輪つけたらどうなるんだよ!」
「お前の親になるってこと!俺がお前の父親!砂羽がお前の母親ってこと!」
「そういうこと。こんな頼りないお父さんとお母さんだけど、よろしくね。」
「そうなんだ。って俺にはこれ(指輪)無いの?」
「お前はこれから大きくなんだろ?今作ると俺ぐらいの年になったら入らね~じゃね~か。だからそれまではこれで。」
「同じのがよかった・・・(泣)」
その空間だけ
暖かい時間が流れていた。
それから、神崎の回復も早くなっていき、数ヵ月後職場復帰した。
しかし、その光景を毎日、苦虫を噛み潰すかのように見つめていたやつがいた・・・
“ヤットミツケタヨ・・・スナハ。デモ、ショウドクシナイトイケマセンネ・・・”
そうつぶやきながら・・・




