優しさと引き換えに・・・
死神達が去った後、男は、目の前の小さな亡骸を抱きしめた。
“イタカッタナ・・・。ゴメンナ・・・ズットイッショダッテイッテタノニ・・・ヤクソク・・・ヤブッテ・・・ゴメン・・・。ホントニ・・・ゴメン。”
唯そう言いながら・・・
そして、男はその子を抱きしめながら前のほうに目をやると、男女の亡骸が無残な状態で転がっていた。
男は彼らの目を右手でゆっくりさすって閉じさせた。
“トオサン、カアサン、ゴメン。オヤフコウモノデ・・・ゴメン。”
そういうと、小さな亡骸の首筋に噛み付いた。
髪も
瞳も
地獄を取り巻く炎のような緋色へと変化していく。
“オレハ、アイツラガユルセナイ・・・。コンナコトシタ、アイツラヲ、オナジメニアワサネート・・・ユルセネー!ゼッタイニ!”
男はそう叫ぶと、小さな亡骸が身につけていたネックレスを採り、自分の手首に巻きつけた。
“コンナ・・・オニイチャンデ・・・ゴメンナ。イタイオモイサセテゴメンナ。モウコレデズットイッショダカラ。”
そういいながら、身につけていたバンダナを首の傷を隠すかのように結び、男女の亡骸の間に手をつないでいるようにしてそっと寝かせ、その場を後にした・・・。




