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金網越しの景色
小さな男の子は、金網越しに女の子を見つめていた。
男の子は恋をしていた
でも
その恋が叶わないということもわかっていた。
“ボクハアクマデ、アノコハシニガミ。ダケドボクハスキ。ドウシタラ、コノアミノムコウノキミト、イッショニイレルカナ・・・”
いつもそう思いながら
男の子は眺めていた。
それから数十年後の夜
成長した男の子は、まだあの子のいる金網越しの景色を眺めていた。
その時、街が騒がしくなる。
彼が街に戻ると、死神達が彼の家族、仲間を次々と殺している光景が目の中に飛び込んでくる。
目の前で広がる地獄絵図の中に、見覚えのある姿があった。
ずっと好きだったあの子だった。
彼は、物陰に隠れながら彼女の様子を伺い、他の死神達から離れた瞬間、彼女を連れ去った。
“ヤット、オナジ、クウカンデ、イッショニイラレル・・・”
そう思いながら・・・




