夜の嵐が去った後
(数日後)
(第5部隊 隊舎 集中治療室)
龍崎はあの日から目を覚ましていない。
焔との戦いは、龍崎にとって体力的にも精神的にも限界寸前であったことが誰もがわかる状態であった。
豪紫、不動、朝比奈はあの日から交代しながら龍崎の見舞いをしている。
「護憲の奴、まだ・・・。」
豪紫は山王に問いかける。
「傷は手術して全部塞いだんですけど、出血量が酷くて・・・。いつ意識が回復するかは僕でもわからないです。」
「そうか・・・。」
豪紫は、ただ龍崎の顔をじっと見つめていた。今の状態に何もすることが出来ないことに苛立ちながら・・・。
(本部)
あの事件から、現場保存の為に本部への立ち入りは禁止されていた。
「なぁ・・・。」
「何だよ?」
不動はタバコを吸いながら朝比奈に問いかける。
「神崎先生はここであいつにやられたんだよな・・・。」
「あぁ。あの野郎、だいぶ狂った事言ってたぜ。僕の為だけに生きてくれる大事な姫だってさ・・・自分で刺しといて言ってんだぜ。」
「完全に気が狂ってんな、そいつ・・・。俺まだ信じらんねぇんだわ。先生が負けたって事が・・・」
「俺もだよ・・・」
本部前に張られていた縄を前に朝比奈と不動は、あの日のことを振り返りながら一服する。
その手は少し震えていた。
(聖堂)
聖堂の中は、事件直後、死神達の遺体安置所となっていた。
事件直後から霧乃宮の指示により第5部隊の隊員と弼、司、獅織によって遺体の検案が行われていた。
現在は、それぞれが故郷へと戻って行った為に元の静けさを取り戻していた。
「ご苦労様。」
霧乃宮は、獅織と司、弼にそういって労をねぎらった。
「霧乃宮。」
「どうしたの?香西君。」
「・・・俺達で絶対見つけ出そう。神崎先生を・・・」
「OK。私もそうするつもりだったから。君達は?」
霧乃宮は司と一馬、弼に確認する。
全員の答えはOKだった。
(某所)
「砂羽、待っててくださいね。もう少しですから・・・。」
澪はそういいながら、意識のない砂羽の手をただ握り続ける。
「雷!勝手に食うなよ!」
「腹減ってんだからいいだろ?腕の1本や2本!」
雷は、楓のところに保管されていた子ども達の腕を食っていた。
楓はそんな雷の横で、子ども達の体を魔術を使って作り上げている最中であった。
焔はただ自分の部屋でただひたすら腕立て伏せをしていた。
龍崎から受けた傷は数日で完全に完治し、何事もなかったかのようにトレーニングをしていたのである。
「俺は、許さない。死神を、絶対に・・・」
といいながら・・・




