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Children*Fortune  作者: 彼岸花
第1章
8/9

Act8:姉?

今回は、次の話(?)への序章っぽい感じです。

姉が出るかは、読んで確かめてください(笑)

この学園も学園というからには、訓練場だけでは無く、教室も存在する。

教室は普段、一般授業の時に使われる場所でもあり、生徒の一時の集合場所でもある。

が、戦闘訓練の方が一般授業より断然多いため、主に休憩時間の溜まり場だった。

今もそれぞれの教室で、話し合っている姿がちらほらと見える。


しかしその中でひとつだけ、他のクラスと違う雰囲気を持つクラスがあった。

“違う雰囲気”とは、他のクラスにはある喧騒が全くなく、静寂しかないからだ。


【1-A】というプレートのかけてあるクラスには、何とも言えない空気が漂っている。

さっきまで友達と話していた、クラスにいる全員がその場面を静かに見守っていた。

目線の先には、入って来て早々、朝比奈家の長男に喧嘩を売った。と言われたハイガがいる。

実際は、授業で、普通に魔法を発動しただけなのだが。


ハイガだけではこんなに目を引くことはなかっただろうが、残念(?)なことにハイガの目の前にもう一人注目の人物がいた。


一際(ひときわ)目を引く金色の髪。

宝石みたいな蒼い瞳。

その立ち振る舞いだけでも、育ちの良さを見受けられる。

そんな彼、ハイガの目の前にいる彼は


カオンだ。


彼は、この前の事があった後、久しぶりにハイガに会いに来ていた。

彼の目は、何かを覚悟したかのように、スウっと細められ、ハイガをジーッと見ている。


ハイガがカオンの部屋に行ってから、約2週間が経っていた。

それから一度も会ってなく、とてもいい雰囲気と言える状態じゃない。

そこで、何か言おうとカオンが口を開きかけたとき、タイミングを見計らった様にルイが入ってきた。


「ハイガ居るか~?」


その一言で、凍りついていた空気が少し和んだ。

「ここに居ますが。

なんですか?」

ハイガは、ルイのいる教室の入口に振り向きながら聞く。

「下に、お前の姉って人が来て

 お前を呼んでるぞ。」

その言葉に一瞬、不思議そうな顔をしたが、自分で納得して続きを促す。

「分かりました。

 で、姉はどこにいますか?」

「多分、校庭に居ると思うけど・・・・・・。

 ってかお前に、あんな姉ちゃん居たんだな~。

 全く似てね~よ。」

「義姉弟ですから。

 というか、あなたが付いてくる必要は無いと思いますが。」

「まあイイじゃんイイじゃん付いて行くくらい。

 それに、俺もあの人と話してみたいし。」

そんな会話をしながら、二人は廊下を出て行った。

残されたカオンは、何とも言えない雰囲気で1-Aの教室を後にした。


◆◇◆◇◆◇◆◇


校庭に着くと、すぐにその人の姿が目に入った。

周りの生徒の視線が集まっている。

“自称ハイガの姉”さんは、乗ってきた黒くてごついバイクに、もたれかかっていた。


『普通自動二輪』所謂(いわゆる)バイクは、魔法が日常化した現代にも普通に残っている。

もちろん『魔動制御二輪』という、魔力を使って走行するものも、開発されたことはもちろんある。

が、魔力を魔動制御二輪に送る管が、特殊な材料で作られているのでコストがかかるため、一般家庭じゃまず買えない。また、自分の魔力を使うので、燃料が無くなる度に毎回ガソリンを買うことは無くなり、長期的に見ると、こちらのほうが安くなるのだが、使う魔力がハンパなく多い上に走行距離が短い、つまり燃費が悪い。

それを改善できないかと多くの研究員達が試してきたが、結局改善には至っていない。

ということで今では普通自動二輪(バイク)が広く使われている。

これを持っている家庭は多い。

なので、視線を集めている理由は、乗り手の方にあった。


自称ハイガの姉。こと、ハイガと同じ研究員のミヨイは、黒いライダースーツを着ているのだが、それがどうもサイズが合っていないようにピッチリしていて、女性の身体の線が見て取れた。

ヘルメットも脱いでおり、整った顔が見えている。がどう見ても20代。ここの生徒なわけがない。

そこで、周りの生徒は、あのお姉さん誰なんだろう?と話しかける勇気はないので、こっそり(と言うほどでもないが)見ていたのだ。

誰も話しかける様子はない。

ルイがハイガを呼びに来たのは、好奇心で話しかけたら、ハイガに用があるから読んできてと、言われたのだそうだ。


「ミヨイ姉さん。」


「ハイガ君。」


仕方なく、姉弟の設定に乗って、いつもと違う呼び方で読んでみると、嬉しそうに返してきた。


「どうかしたんですか?

 学校まで来るなんて。」

そう聞くとミヨイは、ハイガの耳に口を近づけ、囁くように声を潜めて要件を話した。


「この間、言っていた、魔法の開発に成功したそうよ。」


「本当ですか。」

「えぇ。そこで、夕凪君に最終チェックをお願いしたいそうなのよ。」

「僕が、ですか・・・。」

「夕凪君が、よ。」

なぜかウインクしながら、返事をする。

「今からですか?」

「そうよ。だから私が迎えに来たんじゃない。」


どうやら本当にそのようだった。

ミヨイの手には、さっきは持ってなかった白いヘルメットがある。

それをミヨイは、ハイガに投げてよこした。

ハイガは

「ミヨイ姉さんと二人乗りしなきゃいけないのか・・・・・・・。」

と密かに呟いて、ヘルメットを被り、ミヨイの後ろに(またが)った。

「ちゃんと捕まっててね(・・・・・・)。」

とヘルメットを被る前にこっちを向き、何か企んだような笑を浮かべて言った。

言われた通りに、走行中に振り落とされないように胴の当たりに腕を巻きつける。

その際に

「きゃあっ!ハイガ君大胆♪」

と聞こえたが、ハイガは無視。

この行為に他意は無いので全く気にしない。


「じゃあ行くわよ。」

という声の後に、エンジンの音が鳴り響いた。

二人を乗せたバイクは、轟音と共に校庭から消えた。


校庭には、その光景を見た生徒全ての視線と、普通自動二輪のタイヤが巻き上げた砂埃だけが残された。


カオンくん出番少ないですOTL

ルイくん脇役になってます(笑)最初は、そんなつもりなかったんですが・・・。


姉はミヨイさんでしたね(笑)

ハイガの兄弟はまたいつか。

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