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IRIAMの起動画面
IRIAM 初配信 デビュー
この3つのお題での作品です。
指先を滑らせるたび、設定したばかりの美少女が、僕の無骨な首の動きをなぞって小首を傾げる。
鏡の中の自分は、寝癖のついた、どこにでもいる大学生だ。
けれど、このフィルターを通せば、僕は誰の目も気にせず笑える「魂」になれる。
室温は二十八度。
湿った空気が肌にまとわりつき、喉の奥が砂を噛んだように渇く。
デスクに置いた水のペットボトルには、すでに細かな水滴がびっしりと付着していた。
「……よし」
掠れた声で自分に言い聞かせ、震える指を「配信開始」へと伸ばす。
外では遠く、誰かの車のドアが閉まる音が響いた。日常は、まだそこにある。
だが、この六畳一間の中心で、僕は今、新しい世界の産声を上げようとしていた。
静寂を裂くように、決定のタップ音が響く。




