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俺とカレーと週末と

作者: 無道 哲也

週末の昼下がり、田中さんの小さなアパートには、スパイスの香りと共に、微かに聞き覚えのあるメロディーが流れていた。


「♪〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇」

田中さんは、鼻歌交じりに、手際よくカレーを作っていた。


一人暮らしの中年男性、田中さんの趣味は、週末に市販のルーを使ったカレーを作ること。そして、もう一つの趣味は、内緒のプリキュア鑑賞。


「さて、今日のルーはどれにしようかな。」

田中さんは、棚に並んだ様々なメーカーのルーを眺め、まるで魔法のアイテムを選ぶかのように真剣な表情を浮かべた。


「今日は、ちょっと冒険してみるか。」

田中さんは、普段は選ばない少し辛口のルーを手に取り、鼻を近づけて香りを確かめた。


「うん、悪くない。まるで、キュア・スパイスの必殺技のようだ。」

田中さんは、満足そうに頷き、小さな声で呟いた。

玉ねぎを炒め、豚バラ肉を入れ、ジャガイモとニンジンを投入。手際の良い作業は、長年の経験の賜物だ。


「さあ、ここからが華麗なるカレー革命の始まりだ!」

田中さんは、ルーを溶かし込み、グツグツと煮込み始めた。

その時、田中さんの目は、テレビに釘付けになっていた。


「頑張れ!プリキュア!」

田中さんは、心のなかでプリキュアに声援を送った。

すると、次の瞬間、田中さんの鼻を焦げ臭い匂いが刺激した。


「あっ!」

田中さんは、慌てて鍋に目をやった。

カレーが少し焦げていた。


「いけね!少し焦がしちまった。まあ、それもスパイスだな!」

田中さんは、焦げた部分をスプーンで取り除き、何事もなかったかのように、再び煮込み始めた。


30分後、カレーが完成した。

田中さんは、炊き立てのご飯を皿に盛り、カレーをたっぷりとかけた。

福神漬けとらっきょうを添え、食卓についた。


「いただきます。」

田中さんは、スプーンでカレーを一口食べた。


「うん、やっぱりこのルーは美味しい。焦げの苦味も、アクセントになって悪くない。」

田中さんは、目を閉じ、カレーの味を堪能した。

ふと、窓の外を見ると、隣の家の子供たちが楽しそうに遊んでいる。


「そういえば、昔は俺もあんな風に遊んでたな。」

田中さんは、遠い昔の記憶を思い出し、少しだけ感傷的な気分になった。


しかし、すぐに目の前のカレーに意識を戻した。


「まあ、今は今で悪くないか。俺には、カレーとプリキュアがある。」

田中さんは、カレーを頬張りながら、一人暮らしの週末を満喫した。


食後、田中さんは、洗い物を済ませ、部屋の隅に隠してあるプリキュアのグッズをそっと眺めた。


「さて、昼寝でもするか。夢の中で、プリキュアに会えるといいな。」

田中さんは、目を閉じ、静かな午後のひとときを楽しんだ。


夕方、田中さんは、近所のスーパーに買い物に出かけた。


「さて、来週は何カレーにしようかな。それとも、プリキュアの映画を見に行こうかな。」

田中さんは、早くも次の週末の予定に思いを馳せ、足取りも軽やかに帰路についた。

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