プロローグ
万国での戦乱が何百年も続いている混沌とした時代。
砂漠が大半を占める砂地域でも、地域の首領である砂の皇子が万国の覇権を握ろうと他地域を武力で脅かし、内政はやりたい放題であった。
その世を嘆いた砂地域の高名な予言者は世を鎮めるため嘘の予言を万国に告げた。
「戦火と人の血が万国に広がり、いにしえの破壊神がこの世によみがえりつつある。天中に復活の紅星が輝くとき、破壊神は目を覚まし万国は終わる。」
人々は恐怖の予言に震撼したが自国の戦いを侮蔑されたと激怒した砂の皇子は予言者を投獄した。この予言はでっち上げだと暴露されて、時が経つにつれ人々の記憶からも忘れさられていった…
暴君だった前・砂の皇子、孫氏が現・砂の皇子、李龍換(リ=ロンファン)に倒され、二十年が経とうとしていた。国内は五つの部族がうまく調和したことで表面上は平和であった。しかし跡目争いという火種がくすぶりを上げようとしていた。砂の皇子には子供がおらず、各部族長の誇る優秀な子息達が名乗りを上げていた。
そして、一見跡目争いに何の関係もないひとりの若者が介入する事で物語の歯車が動き出す。
この世のすべて、万国を舞台とした物語が今始まる。