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もしかして

作者: 葉沢敬一

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

 初めての街を歩いていて、どこかで会ったような格好の女の子を見かけた。

――もしかして……


 片思いだった女の子か? ついて行って、追い抜きざまに振り返る。

 知らない人。でも雰囲気はよく似ている。


 その娘はこちらを見ると、目を輝かして、

「あ、N君、久しぶり。奇遇だねこんなところで会うなんて」


 声で確信した。彼女だ。でも顔は違うというか覚えてるものと違う。

「Tちゃん? 変わったね。間違っていたと思って声かけそびれてしまったよ」


「ちょっと整形したんだぁ。あとお化粧で」


 ああ、通りで。僕としては前の方が好きだったけど、綺麗になった。まあ、雰囲気は残っているな。

「よかったらお茶しない?」奥手な僕がすんなりそんな声を掛けていたのは僕があれから成長したせいだろうか?


「いいね。そこの喫茶店入ろう」


 で、喫茶店入って座ったら、横の人はマルチの勧誘をしていた。いい加減絶滅しないなと思いながら、互いの近況について話す。


 で、気になっていた整形について話す。

「整形ってお金かかったんじゃないの?」

「無料よ」

「は?」


「私、交通事故で一遍死んじゃったみたいなの。大学病院で一度見放されて、それでも生き返る可能性に掛けてみようかと両親が相談して、新しい技術……私には何度説明されてもよく分からなかったのけど……を受けて、なんというかクローンみたいの作って移植したそうなの。ただ、法律上ちょっとグレーだったらしく、顔とかの特徴をちょっと変えたそうなの。なんか酷くない?」


「いや、見たときはびっくりしたけど、雰囲気で分かったよ」


「良かったぁ。私、半年ほど、冷凍保存されてたみたいで、両親は生き返って喜んでいたけど、自分に自信が持てなくて」


「まあねぇ。死ななくて良かったね」


「新しい身体になって、前はコンタクトだったけど視力も2.0になったし、虫歯もなくなったし、体調も子供の頃みたいに万全よ」


 身体、入れ替えた? ような話を聞いて驚く。

 彼女は隣に聞こえないように小声で僕に言った。


「処女に戻ったんだけど、してみる? N君なら良いよ」

 僕は頭の中が真っ白になった。

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