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美処女高校生の天才女流棋士が転生したら戦国時代だった  作者: lavie800


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第四十七話

茶阿局の部屋に三人が招き入れられた。

「早速ですが、葛の葉とどういう知り合いなのですか」

茶阿局から問いかけられた宗桂のおっさんは、茶阿局を見つめている。

「似ている。

あなたは本当に葛の葉ではないのですか。

本当に美しい。

葛の葉と全く同じ顔かたちに見えます」

「葛の葉は私の姉です。姉と言っても双子なのですが」

「えっ、それで似ているのですか。葛の葉は私の妻です」

「あなたの妻になったのですね。

いまどこに」

「今は旅をしております。

いずれ近いうちに戻ってくると丁度一年前くらいに旅に出ています」

「どこに旅を」

「わかりません。」

「家康様に関係があるのですね。」

「それもわかりませんが」

茶阿局と宗桂のおっさんに想子が口を挟む。

「茶阿局様、葛の葉さんはどういう方だったのですか」

「私は遠江の金谷というところで百姓の娘として育ちました。葛の葉とは双子で非常に聡明な姉です。

ある日、遠江の稲荷神社に行った時に、葛の葉が雷鳴に打たれて九死に一生を得たのですが、そのときから不思議なことが起きるようになりました。

葛の葉は、突然家から前触れもなく居なくなったと思ったらまた現れるということを繰り返してきました。

本人に聞くと、使命を帯びて旅をしていると言っていました。

また奇妙な宣託のようで予言のような言葉を話すようになったのです」

「母は今も旅をしていますが、重要な使命があるのですね」

「葛の葉が話す予言は、最初は水害や川の氾濫などの嵐を正確に言い当てていました。

しかし、そのうちに話が大きくなり十歳のときには今川に代わって天下を取る人が現れるが本当の天下ではない、とか江戸に天下人が現れるようにしないと歴史が代わってしまうとか、百姓の子供が話すような内容ではないことをつぶやくようになったのです。

周りが心配して地元の代官に目を付けられる前に、近くの寺の住職が遠い知り合いに頼んで、江戸にある王子稲荷神社に送られることになったのです。

そこで巫女になったというのを噂で聞きました。

その後の消息はわかりません。

姉が江戸に行って別れるときに言われたのは、これだけは信じてやってほしいと言われました」


宗古が目を輝かせて茶阿局に聞いた。

「どういうことを葛の葉さんに言われたのですか」


「それが、『遠江に鷹狩をする大名がそのうちに来るはず。

そのときには悩みを抱えているはず。その悩みを鷹狩に来た大名に直訴してほしい。

それが未来の歴史に非常に重要なの。私の使命の一つ。

それから私は神社の巫女になるわ。

私にはもう一つの使命がある。

このふたつの使命は月の小面を通じて、いずれ繋がってきて新しい王が生まれ、新しい名人が誕生する』

と言われました」


「その鷹狩にきた大名が徳川家康様だったのですね」

茶阿局は首を縦に振った。

「そうです。

その後姉と別れてかなりの日が流れて、村を仕切っている妻子のある代官に私は言い寄られていました。

何度も断ったのですが、従わなければ親類縁者含めて処罰すると言われ、ある日代官の家の離れに呼びつけられました。

代官は離れで裸になり、私は無理やり着物を脱がされそうになり

襲われそうになったのです。

代官は爬虫類のような目で私の手足を麻縄で縛ろうとして迫ってきました。

命からがら代官の離れから広い道に逃げたときに、丁度大名様が道を通るのを見たのです。

鷹を手にした家康様に出会ったのです。

私は葛の葉の言葉を思い出し、一生で一番勇気を振り絞ってそのときには大名様の名前は知りませんでしたが、鷹を手に持つ偉い大名様に、助けてと言いました」


宗桂のおっさんが再び話に入りこんだ。

「その美貌だから、家康殿も一目ぼれしたのでしょう。

私も葛の葉に一目ぼれでしたから」

「うふふ。家康様は私を気にいってくださいまして、話も聞いてくださいました。

私はそれからとんとん拍子で家康様の側室になり江戸に来ました。

百姓の娘が大名の側室になるとは到底信じてもらえないと思いますが、姉の言葉を借りるとそうなる運命だったのかもしれません。

そして、姉の葛の葉が言った『このふたつの使命は月の小面を通じて、いずれ繋がってきて新しい王が生まれ、新しい名人が誕生する。』ということが起きるのをずっと待っていたのです」



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