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両親の温もり

「シャリスタン、お前が目を覚まさない間生きた心地がしなかったよ…」

お父様は私を抱きしめたまま、震える声で吐息とともに告げた。


「ええ…でも私達はあなたがまた目を覚ましてくれるって信じていたわ」

にっこりと柔らかく笑いながら涙を零すお母様の肩をお父様が抱き寄せ、私と一緒に抱きしめる。


「お父様、お母様、心配かけてごめんなさい…」

どういう状況があまりわからなかったけど、あの白い空間から戻ってきたのは確かみたい。


同時に、巻き戻る前の薄暗い牢で家族に会いたいと願った時の事が思い出されて、自然と涙がこぼれた。


そうだったわ、お父様もお母様も本当に私の事を大切に育ててくれた。

ちょうど外交に出ていてレオナルド様のパーティにいらっしゃらなかったからそのまま会えずに処刑されてしまった。


あの後、両親やお兄様はどうしていただろうと思うと余計に涙が止まらなくなる。


「お父様、お母様、大好き」

私が小さく呟いて両親を抱きしめると少しだけ固まり、その後強く、強く抱きしめてくれる。 


「あぁ…愛してるよ。可愛い我が家のお姫様」

「えぇ、私も大好きよ。シャリスタン、私の愛しい子」

お父様がズビズビと鼻を啜りながら身体を離す。

お鼻も目も真っ赤になって…でも美太夫ぶりは変わりませんのね。


お母様は涙を流してはいるけど優しい笑顔で背中を撫でてくれた。

お母様はお化粧が取れてしまって可愛らしくなってしまったわ。いつもは淑女然として凛としていらっしゃるのに。


ゆっくりと頭を撫でてくれるお父様の向こう側にミラや、執事のセバスが涙ぐんでコクコクと頷いている。

二人とも表情に、本当に安堵と嬉しさが出ていて、特にいつも冷静なセバスにしては珍しいと思ってしまった。


あぁ…私はなんて幸せものだったの。

こんなに大切にしてくれる人が周りにいたのに途中で諦めてしまっていた。


暗い牢の中でも抗い続けていれば何か変わったかもしれないのに…


《もう一度、君の人生を過ごして》


ふいにヘルメの言葉が頭に過ぎる。


そうね、今度は間違えないわ。

大切な人達を悲しませない為、自分自身か絶望に呑み込まれない為

諦めない!






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