波紋の玉葱の詩〜シリアス風味〜
水の滴が
落ちる先には
漂い
浮かぶ
泳ぐ 繊月
白色の
やや透き通る
玉葱
揺蕩う 中に
指先 浸し
摘み 出しては
味見で 顔歪め
舌先 痺れる
まだの様だ
波紋の合間に
本を手に取り
揺蕩う時間に
身を任せ
時の刻みに
全て忘れて
本が読めぬと
思い出しては
良い頃合い
いや 遅すぎか
ザルに開けては
水切り 盛り付け
麺つゆ 垂らして
踊らせ 花鰹
混ぜて食べては
辛味なし
舌でも踊る
風味後引く
ほのかに残る
玉葱の甘味残して
サリサリ 言わせ
ひっそり
静かに
食べ続けた
段ボールに
積まれた玉葱
明日はお隣に
お裾分けに
次の日 漂う
良い匂いに
ウチもスープを
煮るとするかと
涙溢して
刻み続けた
ー
説明
※細月(三日月)より更に細い月の『繊月』(二日月)の言葉を使用しました。
※お隣さん→『己との戦いの詩』参照
メモ:大輔