末文 御礼とご挨拶
お読みくださり、ありがとうございました。
ニンリルのことをお話しするのであれば、どうしても避けられぬエピソードでした。
思い返せば、私、とてもはしたない姿をニンリルに見せているのですね。
普通なら、ドン引きして二度と近寄らないというのに。
ありがたくも、幸せなことです。
さて、少しだけ補足をしておきましょう。
オルドイーニ教授ですが、ご自身が語られていた通り、事件当日の夜にはお亡くなりになりました。自害だそうです。まあ、生きていてもいいことはなさそうですし、覚悟の上でのことでしょう。
わが君も「あそこまでたどり着いたとは、大した奴だよ」と言っておりました。場所は言えませんが、丁重に葬られた、とのことです。
この一件で、王国内に巣くっていたスパイ網は完全に一掃されました。
ですがまあ、知らぬ間にまた巣くってしまうのがスパイ網というやつです。下手に根こそぎにすると捕捉しにくくなることもありますが、それは承知の上、とわが君はおっしゃられました。
「僕が当主になったことを知らしめる、デモンストレーションさ」
そう言って笑うわが君、もう、かわいくて、かっこよくて。
さすがです、わが君♪
ニンリルとブレンダ、カミラ、エミリアの先輩三名は、その後交流を深めております。
嫉妬する気持ちさえ整理できれば、年下のかわいい後輩ですしね。三人を通じて色々な方と交流するようになり、ニンリルも以前より楽しそうです。
三人のうちでは、エミリア様が一番ニンリルの世話を焼いています。幼いころからカミラ様の世話係をしていたせいでしょう、なかなかの世話焼きさんで、いいお姉さんっぷりを発揮しています。
少し後のことですが、私もエミリア様にはお世話になるようになります。
その……私、前期の成績が惨憺たる結果でして……その、見かねて、とのことでございます。
うう、お恥ずかしい限りです。
貴族組のお嬢様方ですが、こちらはあまり交流はありません。
見かけると、そそくさと逃げていかれますので、交流のしようがないのですよね。
ご実家の方へは、風家の当主名で謝罪が行われました。みなさま、風家当主名の謝罪に「どえらいことに巻き込まれた」とガクブルだったそうです。
あ、ガクブル、わかります? ガクガクブルブル、怖くてたまらない、という表現です。ニンリルが教えてくれたのですが、使い方あってますよね?
お嬢様方のうち、風家の名におびえていたヘレン様とメリンダ様ですが、どちらもご両親が風家の粛清対象になっていたそうです。
詳しくは教えていただけませんでしたが、貴族であることを笠に着て、目に余る行為を繰り返していたとか。どちらのおじいさまもとても立派な方で、それゆえ爵位取り上げだけは免れたとか。
お二人はそのことを小さいころから聞かされていたから、おびえていたのでしょう。
あと、特筆すべきはグレース様でしょうか。
犯罪者相手に毅然と振る舞ったことを、ブレンダ様が感心なされたようで。同じ学部の先輩後輩ということもあり、ブレンダ様が話しかけるようになって、仲良くなりつつあるとのこと。たまに二人で中庭の花壇を手入れなさっている姿を見かけるようになりました。
貴族組、平民組。そんな呼び方がなくなる、きっかけになるといいですね。
さて。
私のおねだりがどのような結果になったのか、それはまた機会があればお話ししましょう。
とりあえず、無事進級しないことには……うう、胃が痛いです。
今回のように重苦しい話ではなく、キャッキャウフフなエピソードとなりますのでご安心を。
あ、キャッキャウフフ、わかります? これもニンリルが教えてくれた言葉ですが、使い方あってますよね?
では、今回はこの辺で。
ありがとうございました。
……あ、そうです、忘れるところでした。
フローラ様というのは、どなたなのでしょうか。
わが君に「書いておくように」と言われたので、渡された文章をそのまま書きましたが、私、存じ上げない方です。
これ、お眠りになっているところを見守られていて、お目覚めになったら抱き締めていらっしゃいますよね……。
わが君……他にお気持ちを向けておられる女性が……いらっしゃるのですか?
あら?
わが君、どちらへ行かれました?
え、逃げた……え、どういうことですか、わが君? わが君!?
申し訳ありません、ここで失礼いたします。
またお目にかかれる日まで、どうかご壮健でありますように。
では、私、わが君を探しに行ってまいります!




