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夢と悪夢

作者: T

ピアニストになる夢を、たった今あきらめた。

幼い頃から、人生をかけて追いかけてきた夢だった。


ただ、決意しただけで実際には、毎晩ピアニストとして成功する夢をみるくらいには、未練があった。


そんなある日、どんなものでも消してくれる超能力者がいるとの噂を聞いた。

「どんなものでも…か」

さっそく連絡をとり、半信半疑ながら試しにグランドピアノを消してもらうようお願いした。

「ナムナムナムナム…」

奇妙な呪文を唱えると、あっという間にグランドピアノは消えていた。

これはおどろいた。この超能力者は本物だ。

そこで私は、ダメ元であることをお願いした。

「実は夢を諦めきれないんです。でも諦めたいんです。どうか私の頭からピアニストになりたいという夢を消してください」

「わかりました。お安い御用です。」

そう言って、再び呪文を唱えだした。

すると、だんだん頭がぼーっとしてきた。

そして、いつのまにかピアノのことなど、どうでもよくなっていた。

しかしその夜、また同じ夢をみた。そして目覚めると、またピアニストになりたいという想いが溢れてきた。

どういうことだと超能力者に文句の電話をすると、

「夢は、湧き上がってくるものですからね。」

とだけ言われ、電話を切られた。


追いかけているはずの夢が、いつの間にか逃れられない悪夢へと変わっていた。

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