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誓約の奴隷商  作者: 黒一忍
第一部 生活土台を固める
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第6話 冒険者ギルド

 騎士団の人達からの質問責め等を、やんわりと回避した俺は、騎士団と一緒に徒歩でジーク王国へと向かっていた。なぜかというと、騎士団としては俺を騎士団に取り入れたいらしい。素性のわからないやつを引き入れようとするのはどうかと思うが、俺としてはこのグラン皇国近辺の森から出ることが出来、その上でジーク王国へと向かえるのだ。

 自分の素性がバレるリスクとここに残るリスクを天秤に掛けた結果、前者の方がマシという結論に至った。ちなみにアマツはそういった判断は俺に任せていく方針らしいので、自分で決めるしかない。


「俺を引き入れるなんて騎士団の一存で決められるんですか?」

 別に入る気がある訳では無いが、ふと気になったので騎士団団長に聞いてみる。

「知らないのか?ジーク王国にはダンジョンがいくつかあって冒険者が多く集まる。その冒険者を勧誘する権利を持ってるんだ。まさか、知らないってことは冒険者じゃ無いのか?」

「いや、まぁ、冒険者じゃないんですけど………」

 そう言うとそれ以上の詮索はされなかった。


 ちなみに俺の現在の職業(クラス)は無職だ。元の世界でなら社畜からの解放だぜ!とか喜んでいたかもしれないが、今思うと仕事が無いのは死活問題だ。そもそも無職は金があってこそ成り立つものだ。金貨10枚がどれ程の価値があるのかもわからない今、無職は危険なのだ。


 ………まぁ、将来的には無職、というよりは働かなくても良い人生を目指して行きたい。


 とりあえず未来を考えるのは後回しにして、ダンジョンについて聞こう。ダンジョンに冒険者、なんとも少年心をくすぐる響きだ。

「ダンジョンと冒険者について教えて貰ってもいいですか?」

「あぁそうか、俺達の勧誘を知らなかったならその辺も知らないか。まぁ俺も詳しい訳じゃ無いが………、ダンジョンは迷宮が何階層かあって、モンスターが生息していて武器等が宝箱から獲得出来ると聞く。冒険者はそれを狙ってダンジョンに潜ったり、依頼を受けたりして生活する者達の総称だ。」

 聞いた感じだとファンタジーなんかでよくある感じだ。冒険者には興味があるが、俺にモンスターを殺すことが出来るのかという疑問はある。さっき倒したゴブリンとオーガはアマツが殺したので、俺は殺す覚悟なんて出来ていたかわからない。


「冒険者は身分はしっかりとした仕事だから、ひとまずは冒険者になることを俺達は推奨している。勧誘しやすいというのもあるしな。」

 団長が笑いながら話す。笑い声を聞きながら俺は気になったことを聞いてみた。

「実際に冒険者から騎士になる人ってどれくらいいるんですか?」

「そうだな、勧誘した3割程が騎士になるな。給料が安定している上に治療院を利用するのに必要な料金が安くなる上に仕事もダンジョンに潜るよりは命の危険も少ないしな。」

 どうやら騎士になると厚待遇になるようだ。確かに若い頃はスリルとかを求めて行ったが、歳を取ると安定が欲しくなるようなものか………?俺はまだ23だからその辺はよくわからないが。


 そうして喋っている内にジーク王国へとたどり着いた。城壁に囲まれた王国に入る為の門は入国審査で列が出来ていたが、冒険者と商人と一般で入り口が別れていてスムーズに流れているようだった。俺は騎士団と一緒に入ることで入国審査をパスすることが出来た。騎士団団長が俺の身分を保証してくれた形なので借りが出来てしまったが、オーガを倒した礼ということだったので貸し借り無しということになった。



 門を潜るとそこには石造りの街並みが広がっていた。

「ひとまずこの国を紹介するから俺に付いてきてくれ。おい、お前達は先に戻っていてくれ。報告はやっておいてくれ。」

 特に向かうところも無いので団長の後をついていく。


「ひとまず冒険者ギルドに向かおう。冒険者になることにはなるが、君も自分の身分を保証できた方がいろいろと便利だろう?」

 確かに身分証明というのは出来ないと不便だ。俺が首を縦に振って行程すると、団長が冒険者ギルドに向かって案内を始めてくれた。


「あれは何ですか?」

 冒険者ギルドに向かう途中、ボロい布を纏った人間が何人も乗った馬車が通ったのを見て俺が団長に聞く。まぁ、《真眼》で見たのだが、損壊した布としか表示されなかった。………いや、それを纏ってる人?の情報が欲しいんだよ!布の情報なんているか?!とは思った。


「あぁ、あれは奴隷だな。主人の命令には逆らえない契約がなされている。奴隷になるのは主に借金もしくは、犯罪を犯した者がなるが、中には違法に奴隷にさせられている者もいる。違法な奴隷を扱う商人は取り締まっているが、悲しいことに需要があるせいで減る気配は無いのが現状だ。」

 なんというか、違法に奴隷に出来るのなら俺も気をつけた方がいいかもしれない。口が上手い奴相手だと、知らず知らずの内に奴隷になっていた。なんて事態になりかねない。


 しばらく歩くと冒険者ギルドに到着した。ギルドは様々な武器と防具を身に纏った人達で賑わっており、ギルドに入った俺や騎士団団長を気にする者は数える程しかいなかった。

「カウンターが見えるだろ?3つに区切られた内の左側が冒険者の登録、真ん中がクエストの受注、右側がクエストの報告をする場所だ。冒険者の登録をしてくるといい。」

 そう言われて左側のカウンターに向かう。特に何かあるわけでもなく冒険者への登録は終了した。登録するときに注意事項を説明されたが、冒険者にはSからFランクがあり、それを越えるランクのクエストは受けられないこと。それとクエストを1ヶ月に1回は受けること。ギルドに泥を塗るような行いをしないこと。この2つを破るとギルドから登録を抹消されるとのことだった。


 登録が終わりステータスを確認すると、職業(クラス)が無職から冒険者ランクFに変わっていた。これで仕事をすることにはなるが、普通に生活は出来そうだ。


 ギルドの入り口で待っていた団長と合流した俺は街を案内してもらい、そして最後にジーク王国の中心にある王城に案内された。………そこまではよかった。その後、何故か城内に入り、団長に言われて部屋でしばらく待ち、戻ってきた団長に連れられた部屋にて、俺は何故かジーク王国の国王と謁見していた。

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