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誓約の奴隷商  作者: 黒一忍
第零部 異世界転移
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第4話 魔法

 転移した俺はすぐに自分の周囲を確認する。すると、周囲をゴブリンに囲まれていることに気がついた。どうやらここは俺が転移した地点と同じ地点のようだ。


「ついてねぇ………。」

 そうぼやきつつ、ゴブリンに気がつかれないようにその場を逃げ出した。だが、どうやらここら一帯はゴブリンの生息地のようで進む先々でゴブリンを見つけ、ゴブリンから迂回しつつ進むという状況になり、時間だけが過ぎていった。


『お主、魔法は使わんのか?』

 森を抜けて湿原に生えた背の高い草を掻き分けながら進んでいると、唐突にアマツが聞いてくる。

「魔法なんてどうやって使うかわからんし、俺には魔法適正なんてスキル無いぞ?」

 しばらくアマツが静かになり、残念そうな思念を送りつけてきた。


『あー、なるほど。なんとも勿体無い………。まぁ、別に適正なんて無くても魔法は使えるが、消費魔力が10倍以上掛かるから効率が悪いからな………。』

「なん………だと………?適正無かったら魔法なんて使えねぇよな?それ。」

 魔法なんて異世界の定番なのに適正がなければ使うのにハンデを背負うとか、異世界優しくないようだ。


『まぁ、お主の場合はわしが居るから問題無いがな!』

 ガハハとでも言いそうなくらい大きな声でアマツが笑う。

「まぁ、俺の魔力量なんて大したこと無いけどな………。」

 《魔力上限解放》は持っているが、ステータスで見える魔力のゲージは一切変動していない。ゲージの見えない数字が増えているのかもしれないが、それがどれだけ増えているのかがわからない。だからこそ、魔力量が大したこと無いと思っている。変に期待すると、もしも期待通りでなかった場合にショックを受けるのは目に見えている。


 そんな話をしながら、草を掻き分けて進む。すると、目が合った。ゴブリンと。

「ちょっ!?まじかよ!?」

 即座にUターンし、草を掻き分けながらゴブリンから距離を取ろうとすると、ゴブリンが奇声を上げる。


 恐らく仲間に俺がここにいることを教えるための奇声だろう。となると、ここで逃げ回るといずれ包囲されるので、ここからの脱出を図る。しかし、ゴブリンの数が相当なようで、湿原を囲うようにゴブリンが配置されていて、脱出は不可能だった。


 ここから逃げてもローラー作戦で俺を見つけて潰しに来るのだろう。ならば俺もぶっつけ本番で賭けに出るしかない。

「アマツ、お前は魔法を使えるんだよな?」

『もちろんだ。』

「なら、俺の魔力を全て使ってもいいから、ゴブリンの包囲を魔法で崩してくれ。」

『了解だ。だが、すべて倒しても構わんのだろう?』

 いや、それは死亡フラグじゃねーか!


 数秒後


 ………なんてこった。

 今起こったことをありのまま話すぜ。湿原が大爆発してゴブリンも俺もすべてが吹き飛んだ。なんでもアマツ曰く、世界最高威力の魔法“エクスプロージョン”を発動させたことで、ゴブリンと一緒に俺と湿原を巻き込んでしまったようだ。


 ………ちなみに俺が今何処に居るかと言うと、空を自由落下しているところだ。

 そう、エクスプロージョンによる爆発の威力はアマツが風と水による防御(ガード)魔法によって減衰させたが、爆風を減衰させることは出来ず、俺は打ち上げられてしまった結果だ。


「アマツ!風魔法で落下速度を緩めろぉぉ!」

『了解だ!お主に死なれるとわしも困るのでな!』

 そうアマツが叫ぶと俺の腹にバスケットボール大の風の弾が撃ち込まれる。見事に鳩尾に入っているのでものすごい吐き気に襲われるが、ここで泣き言を言ってもしょうがない。死なないことが最優先だ。


 なんとか地面に五体満足で転がる。ゴブリンが寄ってくる様子は無く、恐らくは“エクスプロージョン”の威力を見て逃げたか、巻き込まれたのだろう。ゴブリンなどが近づいて来たらアマツが迎撃してくれるそうなので、俺はしばらく気持ち悪さと戦うことにした。


「おい!君、大丈夫か?!」

 気持ち悪さが収まり、移動を始めようとした時、不意に後ろから話かけられる。

「っ!、(びっくりした………)大丈夫です。」

 話しかけてきたのは騎士のような装備を身に付けた男の集団の1人だった。他の男は周囲の警戒をし、常に陣形を保っていかなる状況にも対応出来るようになっていた。


「そうか、だが、最近ここら辺にゴブリンの群れが発見された。だから私達ジーク王国第4騎士団が派遣されたんだが………、これはなんだかわからないか?」

 そうして男が指を向けたのは“エクスプロージョン”によって作成された大穴だ。

 まぁ、そりゃさっき俺が作った物だと言っても誰も信じないだろう。なので適当な理由をでっち上げておくことにした。


「いきなり爆発したんです。私自身も爆風で吹き飛ばされましたが、なんとか無事でした。」

 ここまで言った後で、(そういや嘘を見抜くスキルを持ったやつがいたらアウトだったな………あぶねぇ。)とか思ったが、そんなことを気にしてはいられないのだ。いや、誤魔化してはいるが、嘘をついていないので作動しないとかもありそうだ。


「なるほど………。では、君はあの爆発から生き延びたと………。」

 興味深そうに俺を観察する男。しかし、それはすぐに中断させられることになる。なぜなら俺から離れた位置にいる騎士達が飛ばされてきたからだ。


「………は?!」

 いきなりの事に頭が回らず、呆然としていると、騎士が飛ばされてきた方角から1つの人影が現れる。


 その人影が太陽によって姿を表す。

 そして見せたその姿は、人間の1.5倍はありそうな体躯、人間ではあり得ない深紅の肌、そして頭に生えた角、オーガと呼ばれる魔物がそこにいた。

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