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文人アフター⑫

 俺は、桂太が待つ玉座に足を運ぶ。

 廊下で、相田さんと出会った。


「いや~、桂太君強かったよ」

「でも、相田さんも完璧な指しまわしでしたよ」

「でもね、自分の手が完璧だと思うからこそ、彼の怪物みたいな実力がよくわかっちゃう」

「でも、俺たちの半年の研究は間違いなく、通用していましたよね」

「うん! でも、まだまだだね。私たちみたいな凡人が彼みたいな怪物に勝つためには、もっと研究を深めなくちゃいけない」

「そうですね。これからもよろしくお願いします」

「もちろん、文人君も決勝頑張ってね。私の敵討ちをしてくれると嬉しいな」

「頑張ります!」


 俺は、相田さんに励ましてもらいさらにやる気が出た。

 そして、ここがチャンスだと確信する。


 チャンスは逃さない。だって、チャンスの女神様は、前髪しかないから……


「あの、相田さん?」

「なに?」

「大会が終わった後、よかったら文化祭を一緒に回りませんか?」


 言った。言ってしまった。


 彼女は少しだけ困惑した顔になっている。


「ありがとう。楽しみにしているね、じゃあ、行ってきます」

「行ってらっしゃい、文人君!」


 俺たちは、そう言ってお互いに前に進む。


 これはやってしまったか……


 単なる将棋仲間としか見ていなかった男から、デートのお誘いとかないわ~と思われているんじゃないか。


 やばい、めちゃくちゃ不安だ。


 彼女の顔をずっと見てしまう。


 彼女は、下を見て頷いた。


「うん、いいよ」


 真っ赤になった顔は、優しく笑っていた。


 ※


 いつもの部室には、桂太が待っていた。

 盤の前で待つ彼は、本当に王者のように見える。


 文化祭の小さい大会だが、こうしてアマチュアの頂点にいる男の前に立つことができるとは思わなかった。だから、素直に嬉しい。


「戦う理由は見つかったか? 相棒」

 ふたりが少し前にはまっていたゲームの名言を桂太はつぶやいた。

 たぶん、ここまですべて、桂太の手のひらだったんだろうな。


「鬼神はお前だろう? 桂太?」

 俺は席についた。


「「よろしくお願いします」」

 ラストバトルが、ついにはじまる。

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