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文人アフター⑪

 俺は、決勝進出を決めて、解説ルームに戻る。

 葵ちゃんと米山先輩のふたりが解説準備をしている。美少女ふたり解説なので、みんな盛り上がっているな。


「あっ、決勝進出を決めた丸内文人くんが帰ってきました! 決勝進出おめでとうございます!」

「ありがとうございます!」

 米山先輩が中心に解説しているようだ。俺は、米山先輩に導かれて、壇上に上がる。


「いや~、全国大会準優勝の佐藤かな恵さんを撃破しての、決勝進出。急に強くなったんじゃないの? 文人くん?」

「かな恵ちゃん対策を完璧にできたのが良かったと思います。事前準備がうまくできました」

「強くなったわね、文人くん。半年前が、嘘みたい」

「将棋部で、いろんな人と出会って、いろんな修羅場を経験しましたからね」

「男の子の顔になって……みなさん、こんな風に成長できる将棋部、最高ですよ! 是非とも入ってみてくださいね」


 なんか、オチに使われてしまったな。

 でも、元・部長は嬉しそうだ。


「さて、準決勝第2試合は、全国大会2冠の佐藤圭太くんと、高校将棋界最強の名門校"教育大付属"の主将相田美月さんの一戦です。このトーナメント屈指の好カードです」

 米山先輩は、そう盛り上げる。


「ふたりとも、居飛車党なので、矢倉か角換わりになるでしょうね。先手は、相田さんで、彼女は角換わりの研究家として有名ですので、角換わりが本命かな」

 葵ちゃんも解説を続ける。


 やはりというか、ふたりの将棋は角換わり腰掛け銀になった。

 桂太は、矢倉の方が得意だが、角換わりだって強い。


 厚みを作りこんで、あとは受け潰す。


 相田さんは、速攻をしかけて、桂太の防御陣を突破しようとする。

 だが、それも狙いだ。


 桂太は、矢倉を作り対抗する。それも、銀矢倉だ。

 矢倉系列でも最強クラスの守備力を誇る囲い。


 手数がかかるが、相手に先攻させることで、組むことが可能になる。


 桂太の棋風的にも最も相性がいい囲いの一つ。


 相田さんは、戦力をすべて投入して攻めた。


 しかし……


「流れが変わったわ」

 米山先輩が、そう言うと桂太は一撃のカウンターを仕掛けた。いくつもの攻めが繋がる絶妙手。


 受けて受けまくった後の強烈なカウンター。


 これが桂太の真骨頂。


 相田さんは悔しそうに、投了した。


――――

裏話


桂太と香の棋風は、大山十五世名人っぽくしています。

キャリアの序盤で、矢倉で受けまくっていたところは桂太。

振り飛車党転向後に、四間飛車で受けまくっていたところは香織です。


香織はそこに、米長邦雄永世棋聖の"泥沼流"を加えてアレンジしてみました。

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