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文人アフター⑩

 ここからは持久戦だ。

 かな恵ちゃんは、急戦に強いが、持久戦は苦手な傾向にある。じわじわとポイントを稼ぐ将棋に持ち込めば、俺の勝機は広がる。


 奇襲戦法は、ノーガードの殴り合いだから、それとは真逆のゆっくりとした将棋は逆に苦手だろう。

 俺が矢倉に組み、かな恵ちゃんが銀冠に組んだ。

 ここからはねじりあいだ。


 そして、ねじりあいの将棋ならおれの方が彼女よりも1年長く付き合っている。そう、桂太の得意分野だからな。


 桂太が得意とする矢倉は、お互いに囲い合ってからのねじりあいが戦法の本質。


 それに高校生活をずっとかけて、付き合っていたんだ。


 いくら全国2位とはいえ、この経験値差なら、いける。


 俺は銀をぶつけあい、仕掛けて開戦した。


 お互いに攻め合う展開で、俺は1歩彼女を上回っている。


 ふたりの剣が何度もまじりあう切り合いという状況だ。


 さすがは、かな恵ちゃんだ。攻めが鋭い。だが、ここで攻めあえば、1歩早いおれの方が強い。


 かな恵ちゃんは攻めが間に合わないのを遅れて自覚したようだ。


 銀冠に広さにかけて、逃げようとするが、だが一手遅い。


 集中力が加速していく。


 正確で着実な一手を進めていく。派手さはないが基本に忠実な手を進めれば、将棋は天才すらも超えることが可能だ。


「負けました」

 一手差で、俺は相手玉を切り捨てた。

 玉座まで、あと1勝。

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