香IF⑥
私たちは、絶叫系で大ダメージを負いながら、なんとかアトラクションを脱出した。
私は隙を見つけて、記念写真を1000円で買い取った。ふたりともすごい顔をしているけど、これはこれでいい思い出になるし。それに、私と彼のツーショットをおさめた貴重な写真。これを確保せずに、何を確保すればいいのか……
中央の位なみに重要な案件よ。
まぁ、現代将棋においては、そこまで重要視されていないんだけどね、中央の位……
その後は、私たちはお昼ご飯を食べる。
着ぐるみたちが、劇をやっているレストランだ。
クマの女の子が歌って踊っている。
私たちは、ミートソースが載ったハンバーガーとフレンチフライポテト、ジュースのランチセットを頼む。私はウーロン茶を飲み、彼がコーラを注文。30分くらいのショーを私たちは堪能する。友情についてが裏テーマの優しい劇だった。
「この後はどうするの?」
「そうですね、2時からお昼のダンスショーがあるらしいので、場所取りして待ちましょう! その後は、クマの蜂蜜ハントとか穏やかなやつにのりませんか?」
どうやら、彼もさっきの絶叫系で結構消耗したみたい。
「いいね!」
私も同意する。
※
「今日は楽しかったね!」
「そうですね~ リア充大国でも俺たち意外と楽しめますね!!」
もう日が暮れている。そろそろ帰りかな?
どこかで軽食でも食べて、夜のショーを見ながら帰宅。そういう流れだろうな。
終わって欲しくなかった。
この時間がずっとずっと続けばよいのにと思う。
「香先輩、夜も食べていきましょう!」
「そうね、どこかの屋台で食べようか?」
「実は予約していたお店があるんですよ。今日は奢らせてください!」
「えっ!?」
彼はいつになく緊張していた。
だって、そこの予約していたお店というのは……
園内で一番お高いオシャレなレストランだったから……
コース料理だけで1万円近いお店だった。豪華な装飾に、ゆったりとした雰囲気。高校生と大学生のふたりが来てはいけない雰囲気のお店。
オシャレなお肉料理とかが並ぶ。
「桂太くん? 大丈夫? ここ相当、高いでしょ!」
「大丈夫ですよ、実は春休みに住み込みで将棋道場の手伝いのアルバイトをして結構稼いだんで! いつもお世話になっている先輩のためです。気にしないでください!」
「それに、聞きたいこともあったんですよ!」
彼は真面目な顔になった。聞きたいこと。それは彼があえて、このデート中に聞かなかったことだろう。私たちは、将棋部で出会ったのに……
彼とは将棋の話を8時間以上、一緒にいたのに、一度もしていなかったのだから。
この世界観では、夢の国は、国と海が合体していますw
なんのことかわからなかったら読み飛ばしてください(笑)
ハハッ




